第26歩目 はじめての親子!
前回までのあらすじ
ラズリさんが再び仲間に加わった!
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似たもの親子っていますよね
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本日より第2.5章のスタートです
「私の家に来ませんか?」
「いくいくー(*´∀`*)」
「即答すんな!お前は某番組でも見てんのか!」
それは突然の申し出だった
相手がお付き合いしている普通の女の子だったなら、きっとドキドキと心弾む言葉だったんだろう
しかし、相手がラズリさんとなると......
「既成事実とか作ろうとしてます?」
「私をなんだと思ってるんです!?」
「頼れる優秀な人だけど婚活バカですかね」
「ぺったんこ料理長ー?」
「二人ともひどい!?」
ラズリさんとは雇用契約を結んだことで、7日間仲間となった
雇用契約とは、一時的に仲間となってくれる代わりに、契約者の衣食住の面倒を見るシステムだ
本来なら俺がラズリさんの衣食住の面倒を見るはずなのだが......
「日給も報酬もいりません。
もちろん衣食住もアユムさんのご迷惑はかけません」
これがラズリさんが提示した条件だった
「ただし、条件の代わりにお願いを聞いて欲しいんです」
「お願い?例えばなんですか?」
「この7日間だけ、私をアユムさんの彼女にしてもらうとか?」
「本当、そんなのばっかりだな!」
「いいじゃないですか。私の婚活の練習だと思ってください」
こんなことを言われた後に、家に来ませんか?と来たもんだ
相手が婚活バカのラズリさんなら疑っても仕方がないと思う
「でも悪いですよ。何もかもお世話になるなんて」
「お願いを聞いてくれる契約ですよ?」
ぐぅ。契約ときたか......
確かに条件と引き換えに、彼女のお願いをきく契約したのは事実だ
今思うと、条件を提示されたほうがよかった気がする
「じゃあ、行きましょう。あ・な・た♪」
「それ彼女じゃないですよね!?」
「あ・な・た( ´∀` )」
「う、うるせえな!」
「歩の顔、真っ赤ー!」
「本当ですね。照れちゃってかわいいんですから」
こうして俺達は、ラズリさんのお宅に訪問することになった
□□□□
ラズリさんの家は、町外れの閑静な住宅街にある煉瓦造りの立派な平屋だった
「へ~。立派な家に住んでるんですね」
「ありがとうございます」
「若いのに一軒屋持ちとかさすがですね」
「いえ。実家ですから」
「......え?実家?」
「そうですが、なにか?」
普通、そんな気安く男を実家に誘うか!?
「えっと、ご両親とかは?」
「母はおりますが、父は既に......」
あっ。まずいこと聞いちゃったか
「すいません」
「気にしないでください。随分と前のことですから」
そういうと、ラズリさんはにこっと優しい笑顔を向けてきた
ちゃんとしてれば本当にきれいな人なんだよな。ぺったんこだけど
「ねー早く入ろー?お腹すいたー(´-ε -`)
ラピスー早速お菓子作ってー!」
「お前本当図々しいな」
「だってータダで泊めてくれるんでしょー?
その上、ご飯やお菓子付きー。
遠慮したらバチが当たるよー!」
「あくまで好意だろ。少しは遠慮しろ!」
「ふえーーーーーーーーーーん(´;ω;`)」
俺が頬をつねると、駄女神は喘いだ
どうやらうちのバカには遠慮するという言葉はないようだ
「ふふっ。本当に仲がよろしいようで羨ましいです。
では立ち話もなんですし、中に入りましょうか。
母を紹介します」
もしかしてこれって、彼氏を親に紹介するって流れじゃないよな?
□□□□
「はじめまして。ラズリの母のアクアスカイと申します」
ラズリさんに誘われるまま家の中に入ると、妙齢の女性が俺達を出迎えてくれた
「はじめまして。俺はアユムです。こっちはアテナ。
いきなりの訪問で申し訳ありません」
「やっほー!ラピスのお姉さんー!私はアテナだよー!」
母親だって言ってんだろ!話を聞け!
しかし、アテナがラズリさんのお姉さんだと思うのも無理はない
二人が並ぶと、まるで姉妹のように見える
「いえいえ。お気になさらずに。
ラズリが彼氏をいきなり連れてくるのはいつものことですから」
いつものことなのかよ!てか、彼氏じゃないし!
いきなり実家とか普通引かれるだろ!
「ちょ、ちょっとお母さん!余計なこと言わないでよ!」
慌てているラズリさんもちょっと新鮮だ
自己紹介が済んだところで、俺とアテナはリビングに案内された
ラズリさんが、アクアスカイさんに今回の経緯を話している
出されたお菓子とお茶からはいい匂いが漂ってくる
「歩~!お菓子ちょうだーい!あ~ん!」
アテナは膝の上で足をぷらぷらしつつ、口をあ~んと開けてくる
お菓子を口に入れる
もぐもぐもぐもぐ
口の中で味を堪能するかのように咀嚼し、飲み込むと......
「おいしぃーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
両手を頬にあて、o(≧∇≦)oこんな顔でほほえんだ
ラズリさんもアクアスカイさんもアテナを見る眼差しは優しい
ただお菓子を食べているだけで、その場を和ませた
しかも、一瞬にしてこの場に馴染んでしまってもいる
これはアテナの恐るべき長所だ
「もっとちょうだーい!あ~ん!あ~ん!あ~ん!」
「はいはい」
俺はアテナにお菓子を食べさせつつ、何気なく目の前にいる二人の女性に目をやった
ラズリさんは名前の通り、きれいな瑠璃色の髪と瞳
落ち着いた雰囲気のボブカットは、知的な雰囲気を醸し出している
一方アクアスカイさんは、晴れ渡る快晴のような天色の髪と瞳
髪を結んでいて、ゆるいサイドテールは優しそうな雰囲気を醸し出している
ただ二人は姉妹のように見えるが、1つだけ決定的な違いがある
「お話はわかりました。
大したおもてなしはできませんが、自分の家だと思ってお過ごしください」
「ありがとうございます。アクアスカイさん。
しばらくの間、お世話になります」
「よろしくお願いねー!」
俺がぺこりっと頭を下げると、アテナも続いてぺこりっと頭を下げた
どうやら俺の真似をしたみたいだ。かわいい
「親しいものからはスカイと呼ばれています。
ですので、そう呼んでください」
スカイ?
普通アクアじゃないか?ラズリさんと同じパターンか
「わかりました。スカイさん」
「よろしくー!アクアー!」
スカイだって言ってんだろ!
いや、アクアのほうがいいとは思うけどさ?
「失礼ですが、お二人に伺ってもよろしいですか?」
「なんでしょう?」
「アユムさんとアテナちゃんはどういったご関係で?」
「歩は私のつき・・・もぐもぐもぐもぐ」
俺はアテナの口にお菓子を放り込んだ
余計なことを話されたら、めんどくさいことになる
「アテナは妹ですね」
「え?そうなんですか?初耳です」
「んー?私が妹ー?」
俺はアテナの耳元でひそひそと囁いた
(そういうことにしとくぞ。めんどくさいのはごめんだ)
(あははー!くすぐったーい!妹でもいいよー(*´∀`*))
アテナは楽しそうにきゃっきゃっとはしゃいでいる
ひそひそ話がお気に召したようだ
「妹......それにしては随分仲がいいように見えますが?」
「ええ。家族ですし」
「髪の色とか全く違うようですが?」
「ハーフなんです。俺は父に、アテナは母に似たんです。
異世界では割と当たり前ですよ」
異世界人なのはラズリさんにバレているから問題ない
「そうなんですね!安心しました」
「はぁ?安心ですか?」
「おにいちゃんー!お菓子ちょうだーい(*´∀`*)」
「はいはい」
呼び方をいきなり変えるとか怪しまれるだろ!
......かわいいけどさ!
「アテナさんは妹さんでしたか。安心しました」
「アテナちゃんが妹というのはどうやら本当みたいですね」
今のアテナの演技で信じちゃったの!?
「ラズリ!この7日間でアユムさんの心を射止めなさい!」
「お母さん任せて!最悪アユムさんに夜ばいをかけてでも......」
「あぁ~やっと私にも初孫が......」
「あんたら、なに言ってんの!?」
ラズリさんとスカイさんの様子がただ事じゃない
「ラズリのことは嫌いですか?」
「いえ、別に嫌いではないですが......」
「好きか嫌いで言えばどちらですか?」
またそれかよ!やっぱり親子だな!
「す、好きです?」
「アユムさん......///」
ラズリさんは顔を真っ赤にして照れている
スカイさんはニヤニヤ顔だ
「ど、どちらかと言えばですよ?」
「じゃあ問題ないですね」
「大ありですって!俺の意思は!?」
このままだと押し切られる!
「アユムさんの意思......つまりラズリだけではご不満と?」
「なんでそうなるの!?」
「え!?お母さんなに言ってるの?」
俺とラズリさんはきょとん顔だ
スカイさんがなにを言っているのかわからない
「アユムさんの私を見つめる目が情熱的でしたから......///」
「ぶっ!?」
「ちょっと!アユムさん!どういうことですか!?」
バレてたのか......
ぶっちゃけ、スカイさんは好みのタイプだ
しかも未亡人故かエロいフェロモンが出ている
童貞には正直堪えがたい
でも俺はニケさん一筋だ!
しかし、スカイさんの猛攻は続いた
「アユムさんがラズリと結婚して頂けるなら......。
かわいい娘と初孫のためです。
こんなおばさんでもよければ一緒に貰ってください」
「本当、なに言ってんの!?」
スカイさんを前にして俺は思う
この母にして、この子あり
やっぱりラズリさんを仲間にしたのは失敗だったかな......
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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小
種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀
職業:女神
称号:智慧の女神
体力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50
女神ポイント:500【↑500】
【一言】アクアを見つめてたのまじー?ニケに言うよー?( ´∀` )
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アユムの所持金:1850000ルクア
冒険者のランク:A(クリア回数:1回)
このお話の歩数:約3210歩
ここまでの歩数:約935320歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:1367【↑3】
種族:人間
年齢:26
性別:♂
職業:凡人
称号:女神の付き人
体力:1377(+1367)【↑3】
魔力:1367(+1367)【↑3】
筋力:1372(+1367)【↑3】
耐久:1372(+1367)【↑3】
敏捷:1427(+1367)【↑3】
技能:言語理解/ステータス/詠唱省略
Lv.1:初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
初級土魔法/初級光魔法/初級闇魔法
Lv.2:隠密/偽造/捜索/吸収/浄化魔法
治癒魔法/共有
Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知
物理耐性/魔法耐性/状態異常耐性
共有:アイテムボックスLv.3
検査Lv.1
固有:ウォーキングLv.1367 287/1368
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次回、ラズリさんが甘えます
今日のひとこま
「ねーねー私、すごいことに気付いたんだー!」
「なんだよ」
「アクアとラピスを見分ける方法ー!」
「いやいや!普通に分かるだろ!」
「えー?二人って似てるじゃーん!」
「似てはいるけど、髪型とかさ」
「髪や顔見なくても私わかるよー!」
「待て!言うんじゃない!」
「へ~。興味あります。教えてください」
「ラズリさん!?」
「アクアはバインバインで、ラピスはぺったんこだよねー!」
「ぺったんこ......」
だから聞かなきゃよかったのに......




