第9歩目 はじめての宿屋!
10/9 改稿しました。
改稿内容は会話の括弧を統一しただけで、話の内容じたいは変更ありません。
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前回までのあらすじ
疲れたので宿屋に向かう
「ではこちらが今回の報酬と冒険者カードとなります」
受付嬢さんから一枚の紙とカードを渡された
カードは黒色の冒険者カード
そして紙には、【4000ルクアを冒険者カードに登録しました】との文字が書かれていた
なるほど。渡されたのは収紙か
確か冒険者カードが財布代わりになるんだったな
そんなことを考えていたら、
「歩~!疲れたー!休みたーい!」
「・・・」
「・・・」
アテナが駄々っ子のようにわがままを言い出した
お前さっきまで寝てただろ!というツッコミは置いといて、俺も色々あって疲れた。少し休みたい
ただ所持金が4000ルクアしかない
身分証を作るのに2000ルクアもかかったことを考えれば、あまり贅沢は望めないだろう
「ご覧の通りでして.....この辺りで一番安い宿屋ってどこになりますか?」
俺は受付嬢さんに尋ねながらも、アテナに視線を投げた
俺の視線の意図を汲み取った受付嬢さんは苦笑していた
ありがとうございます。俺は大きな子供を抱えているんです.....
「安くて、ギルドが公認している宿屋となると現在三店舗ですね。それぞれおすすめできる特徴があるのですが、ご希望はありますか?」
一つの町に宿屋が三つもあるというのは多い気もするが、それだけ人の出入りが激しいのかもしれない
とりあえず、選択肢がたくさんあることはいいことだ
ないよりは全然いい
ただ急に希望と言われても.....すぐには思い付かない
「アテナはなんか希望あるか?」
「ご飯が美味しいところがいいー!」
アテナがきらきらした目で見上げてきた
旅行中のアテナからしてみれば、ご飯は楽しみの一つなんだろう
「あぁ、なるほど。それは確かにそうだな」
「でしょー!お腹空いたー!」
ただ、俺からしてみれば盲点だった
どこか日本の感覚で考えていたが、ここは異世界だ
地球の食文化に慣れ親しんだ俺からすると、もしかしたら異世界の飯は口に合わない可能性がある
これはある意味、異世界もののお約束なのかもしれない
だったら、少しでも美味いと評判の店を選びたい!
アテナは当たり前のことを当たり前のように言っただけだろう
でも、そのことに気付かせてくれたアテナには感謝したい
だから.....
───ぽふっ。ぽんぽん
アテナが気に入っている、頭ぽんぽんをしてあげた
「ありがとな」
「にへへー!どうしたのー?歩、変なのー?」
そこにはいつものにぱー☆とした可愛らしい笑顔があった
本当、ちゃんとしてれば可愛いんだよなぁ。胸大きいし
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さて、アテナの希望を採用しよう
俺もアテナ同様、美味いご飯が食べたい!
「では、ご飯の美味い宿屋でお願いします」
「でしたら、【小鳥のさえずり亭】となります。お二人なら一泊4000ルクアですね」
え?たかくね!?
一晩泊まるだけで、稼ぎが全部ふっ飛ぶんだが.....
「宿としては少々高めですが、朝食と夕食に、昼のお弁当がつきます」
あぁ、なるほど。それならむしろ、安いかもしれない
コボルト討伐だけで2000ルクア稼げる世界だしな
宿屋は【小鳥のさえずり亭】でいいだろう
ただ宿屋が三つもある町だ
町じたいがある程度の規模だと思った方がいい
【小鳥のさえずり亭】を探すのも一苦労だろう
だから俺は受付嬢さんに【小鳥のさえずり亭】の地図を貰おうとしたのだが.....
「【小鳥のさえずり亭】ね!分かったー!先に行ってるねー!」
「先に行ってるって、場所わか.....」
バカがお約束のように飛び出して行ってしまった
「・・・」
「・・・」
「苦労されてるんですね.....」
「HAHAHA」
俺はただただ笑うことしかできなかった
この後、宿屋の場所が分からず、すごすごと戻ってきたアテナの頬を引っ張りながら【小鳥のさえずり亭】に向かった
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小鳥のさえずり亭
地図に従い歩くこと数分、【小鳥のさえずり亭】に着いた
外観は民宿のそれに近い感じといったところだろうか
高級感はないが、こざっぱりとした落ち着く感じだ
中に入ると食堂らしきテーブルがいくつか置かれていた
「いらっしゃい。初めて見る顔ね」
カウンターに向かうと奥から声がかかった
出てきたのは恰幅のいいおばちゃんだ
にこにこしていて、優しそうな雰囲気を醸し出している
「はい。今日この町にやってきました。よろしくお願いします」
「あいよ。ごひいきにしておくれ」
おばちゃんは微笑みながらもアテナをちらっと見た
そしてなにやらニマニマし始めた
な、なんだろう。すごく気になるな.....
「一泊二人で4000ルクア。うちはギルド公認店だからね。身分証を確認させてもらうがいいかい?」
「どうぞ」
変な客が入り込まないよう、いちおチェックはするのか
いや、公認店だからこそか。信用に関わるもんな
「食事は入り口横の食堂で取っておくれ。うちは朝食、昼食、夕食の3食付きだよ。昼食は前日に言ってもらえれば、お弁当にすることもできる。時間はそれぞれ朝、昼、夕方の鐘が鳴ってから4つ目の鐘が鳴るまでの間。ラストオーダーは3つ目の鐘が鳴るまでだから気を付けておくれよ」
「わかりました」
アテナから聞いた話だと、
朝の鐘は6時に、昼は12時に、夕方は18時に3回鳴るらしい
そして1時間事に1回、鐘は鳴らされるんだとか
つまり、
朝食は6時~10時
昼食は12時~16時
夕食は18時~22時
ラストオーダーはそれぞれ9時、15時、21時
ということになる
時間が鐘頼りとなると、聞き逃す訳にはいかない
かなり高価だが時計があるらしいので早めに取得したい
「体を拭くお湯がほしい場合は、帰ってきたときに申し出ておくれ。お湯は1人100ルクア。夕食後に部屋まで持っていき、回収は朝に行う。今回は今後もごひいきにってことでサービスしとくよ。カンテラを使う場合は貸し賃が100ルクア。大体一時間分の油が入っている。油を自分で足してもいいが、火の取り扱いには気を付けておくれよ」
「ありがとうございます!」
当然この宿屋にはお風呂なるものはないんだろう
それでもお湯をもらえるのは非常に助かる
だって宿泊料金で無一文になってしまったんだから
優しそうなおばちゃんは優しかった
今後ともここをひいきにしよう
そう思っていたら、
「えー!お風呂入りたかったなー!」
アテナがおばちゃんの厚意を踏みにじる発言をした
「ごめんなさいね。お風呂はお貴族様とかが入るものだからうちにはないんだよ」
申し訳なさそうな顔で謝ってくるおばちゃん
それを見て俺の心が痛んだ。すごく痛んだ
だから.....
「お前ふざけんな!おばちゃんの厚意を台無しにすんな!」
「ふえ~~~ん。ごめんなさーい!」
アテナの頬を思いっきりつねった
「このバカがすみません.....」
「あはは。正直な可愛い彼女さんじゃないか」
.....おばちゃん、今なんて言った?
彼女だと?このバカが?顔と胸しか取り柄のないこいつが?
断固否定する!俺の彼女はニケさんだ!こんなバカじゃない!
「いえ、こいつは彼女なんかじゃないですよ」
「いいから。いいから。照れなくてもいいんだよ」
その後、何度説明しても分かってもらえなかった
それよりおばちゃんがニマニマしていたのがすごく気になる
結局誤解されたまま部屋の鍵を渡された
仕方ないので説得は諦め、俺達は部屋に向かうことにした
部屋は十畳くらいはありそうな縦長長方形のワンルームだった
入ってすぐ横にクローゼット、部屋の奥に机とイスが二つ置いてある
イスの向こう側の壁には木窓がはめられていた
なかなか快適そうな部屋だ
「わーい!大きいベッドだー!」
部屋の中に入ったアテナは一目散に駆け出しベッドにダイブした
そして、きゃっきゃっと楽しそうに飛び跳ねている
本来なら注意すべき行為なのだろうが、俺はしばし魅入っていた
だってアテナのおっぱいがすごく揺れていたのだから!
それはいい、それはすごくいいのだが、気になることがある
「なんでベッドが1つしかないんだよ!!?」
おばちゃんがニマニマしていたのはこれか!なに勘違いしちゃってんの!?
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アユムの所持金:0ルクア
冒険者のランク:E(クリア回数:2回)
このお話の歩数:約820歩
ここまでの歩数:約9880歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:140【↑6】
種族:人間
年齢:26
性別:♂
職業:凡人
称号:女神の付き人
体力:154(+140)【↑6】
魔力:140(+140)【↑6】
筋力:145(+140)【↑6】
耐久:145(+140)【↑6】
敏捷:204(+140)【↑6】
技能:言語理解/ステータス/鑑定Lv.1
固有:ウォーキングLv.140 10/141
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次回、魔法やスキルを確認します




