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楽しんでいってくれると幸いです。
小さな影が宙を舞う。
高層ビルの10階からである。
ちなみに、高層ビル10階とはおよそ40m、常人では生きてはいられない。普通死ぬ。
ならば、この少女は常人でなく、超人だというのだろうか。
「またあいつか...」
こんなつぶやきが聞こえたのは執行局の4階、憩いの場こと部長室。
声の主は第一支部長。
憩いの場の理由はさておき、簡単に説明をしよう。
一人の少女がビルから飛び降りたのである。
いつも通りの気持ちにいつも通りの時間、いつも通りの紅茶に...いつも通りの事件であった。
「またですか。いきます?」
「当たり前だ、阿呆。さっさとしろ。」
地面が迫ってくる。
世界が止まって見える。
「やばいぃぃぃぃぃぃっっ!ごはぁっ!」
慣性の法則に従い持ち上がっていた内臓が一瞬の間に所定の位置につく。
(苦痛以外のなんにでもないよ...)。
「やっぱし、ね。」
「まぁたお前か...あきらめろ、そろそろ。」
「まぁたあんたか...無理だ無理。今まで捕まえられたこと、あったか?」
右、左、そして後ろからも刃が。
それらを猫のように潜り抜ける。
腰あたりの巻き尺と思わしきものから鉄の針が数本出る。
少女の「せいっ!」という掛け声とともに放たれた針は空を切る。
着弾し、次第に煙を放つ。
「ちっ!魔法使いが!」
魔法使いと呼ばれた少女は煙を切り、人気のない路地へ消えていく。
「ただーいまっ!」
「おかえりセルマっ!」
「今日はなぁ、こんなもんとってきたぞ!」
路地を抜けた先には村、というよりは小さい、いわゆる「スラム」があった。
少女ーセルマに話しかけた数人の子供たちはこのスラムの住人である。
ここでは孤児や、家なき子、捨て子などが集団生活を営んでいる。
セルマもその中の一人。
彼女が持ってきた食べ物で暮らしている、家族であった。
同刻、王宮。
王が謁見しているのがこの国、ジーン王国の執行局国害担当課最高責任者、ウォフルフ。
隣国との戦争で武功を上げ、昇進に昇進を重ねた弱冠20歳である。
「僭越ながら陛下、あのスラムを掃討すべきです。」
「というと?」
「環境、治安、どれをとっても害悪です。それに...」
「それに?」
「いえ。とにかく掃討すべきです。執行局は陛下、王国のために尽力いたします。」
「...。」
「陛下。」
「だめだ、許可は出せん。」
「またですか。何か理由がおありなのですか?」
「...、だめだ、許可は出せん。」
「そうですか。ならば陛下のお心のままに...。失礼しました。」
(時間がない、急がねば。)
謁見後の廊下でウォフルフは思案する。
[じッ...]
「誰だ。」
後ろには、黒の瘴気をまとった女が。
「チカラを、貸しましょう。望むならば。」
空が暗くなり、雨が降り出す。
スラム、
「あめだぁー!」
「こらぁー!外でんなっ!」
憩いの場、
「おい、降ってきやがった...」
「え、まじすか!今日彼女とデートなのに!」
「そんなこといいから仕事しろ、新人!」
「へぇい。」
王室、
「今日は一段と強くなりそうだな。」
廊下、
「ああ、貸せ、力を。」
To Be Continue.
拙い文で申し訳ありません。銀ねこです。
無名の、処女作でございます。
学生の妄想より構成された世界、楽しんでいただけましたか?
書き終わり次第、連載させていただきます。
何ぞとよろしくお願いいたします!