週末から始まる恋愛大作戦
2作目です
中々慣れない所もあり読みにくい場合がございますが、
どうか淡い2人の世界の中を覗いて見て下さい
俺はきっと初めて君にあったあの日を忘れないだろうーーー
欠伸を一つ噛み殺して外の景色に目をやる
高校に通うようになってもうすぐ2年、この電車通学にも大分慣れた
今日は金曜日
部活の朝練が無い日でいつもより遅めの電車に乗った
少し長めの通学の時間に飽きない為に俺は鞄から一冊の本を取り出す
俺の性格上、どちらかと言うと社交性はある方なので誰とでも仲良くはなれる
それもあり完全なアウトドア派に
見られる事が多いが静かに本を読むのも好きだ
ふと視線を上げると大人しげな1人の少女が目に入る
彼女も俺と同じく本を読みその白く細い指が時折思い出した様にページを捲る
一瞬にして目を奪われた
呼吸が止まる感覚…とはこれなのかと17年間生きて来た中で初めて経験した
その内彼女は俺の最寄りの一つ前の駅で降りて行った
ふと視線を床に向けるとそこには
1枚の栞
それを拾い上げ眺める
彼女との繋がりになる物を手にして1人にやける頬を抑えた
その日、最寄り駅を通り過ぎ遅刻しそうになったのは後の祭りだ
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あれから毎日彼女を探したがやはり
時間帯が合わないのか見つける事が出来ず諦めかけたあの日から一週間後
そこに彼女は、居た
あれから毎日彼女の事だけを考え過ごした
よく友人にからかわれる内容はその性格に反して‘奥手’な事
主に恋愛に関して、だ
相談に乗るのならなんとかギリギリ出来るがそれがいざ自分の事になると上手く、言葉が出ない
恥ずかしさが先走るのがいつものパターンだが今回は折角の繋がりがある
勇気を出して彼女に声を掛けた
「…あの!」
「はい?」
「先週、この時間の電車でこれを落としませんでしたか?」
「…!ありがとうございます!
もう見つからないかと思い諦めていたんです!」
「良かった…」
彼女は本にその栞を挟む
「…貴方も本を読むんですか?」
「…え?」
そう少し間抜けた声を出すと
彼女はクスクスと笑い、俺が持つ文庫本を指差す
「…ああ、これですか?
最近新しく新刊が出て気になってしまって」
「分かります、お気に入りの作家さんの新刊は抑えておきたいですよね!」
そこから自己紹介から始まり好きな作家や本の趣味が合うらしく話しは弾んだ
そして時間は経ち、彼女の最寄りになると
「「…あの!」」
「「…あ」」
「どうぞ、そちらから」
「い、いえ そちらから」
「「…プッ」」
「では、俺から
また会えますか?」
「私も同じことを聞こうと思ってました」
「俺は部活の朝練の関係でこの時間は毎週金曜日だけですが…」
「わかりました
では、また来週楽しみにしてますね
その時私が持っているお気に入りの本を渡しますね」
それと、
次は敬語は無しでお話しをしましょう
と綺麗な笑顔を浮かべ彼女、
優衣は降りて行った
それから何週間か過ぎあの時間を一週間の楽しみとなった俺は今日も
優衣の事を待っていると一組の男女を見かけた
2人は笑いながら別れ、彼女ー
優衣は電車に乗り込んで来た
「おはよう!」
「ああ、おはよう」
俺はなんとか不自然にならない様に努力し会話を続けた
あの光景、優衣と優しげな男の話す姿が脳裏から離れない
確かに彼女ほど可愛い子は彼氏の1人位居るかもしれない
「ーーーーー!ねえ!」
「…あ、ごめん。どうした?」
「もう、さっきから話し掛けてるのに反応がないんだもん!」
「悪い、悪い!」
「どうかしたの?悩みことなら聞くよ?」
「いや、大した事じゃないんだ。ただ…」
「ただ、何?」
「さっきの人は誰かなって思っただけだよ」
「なんだ、そんな事?あの人はお兄ちゃんだよ?」
「そうか」
「うん、変なのー」
そうクスクスと柔らかい笑顔の彼女を見て酷く安心した
それでも彼女程可愛いといつか俺から離れて行ってしまうだろう
だから決心した
玉砕覚悟で告げよう、
彼女に愛の告白ー好きだと…
普通に告げれば心には残らないだろう
だから俺なりの伝え方でーーー
彼女は気づくだろうか
それもまた一興
それからまた一週間、俺と彼女は同じ電車で話していた
「ありがとう、この本も面白かったよ」
「それは良かった!あ、この本ありがとね!」
「ああ」
「じ、じゃあ!」
そう言って彼女は降りて言った
ふと返された本を見ると何か挟まっている
(………?)
瞬間、にやける頬を抑えるのに苦労した
そこに挟まれていた栞には
きっと彼女が書いたのだろう綺麗な字で
ー月が綺麗ですねー
俺と同じ事をしてくれた
さあ、来週互いに顔合わせする時が楽しみだ
いかがでしたか?
始めての男の子目線ということですこし大変でした 苦笑
ご感想があれは是非、どうぞ
またお会いしましょう