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いちご中毒  作者: 碧野
ふたりの関係
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ドキッ!!とオレの心臓が跳ねる。


苺は微笑んでオレを見つめていた。しかし、オレがこんな気持ちになってるなんて、夢にも思ってないよな。



『好き』『かっこいい』他の女の子にどれだけ言われても何とも思わないが、苺にこのセリフを言われると心臓に悪い。


その“好き”はどうゆう意味なんだよ。な?苺。オレがそう聞いたら困るのか?



苺との出会いは10歳の時。両親の離婚で引っ越しをすることになり……1つ上の姉は母親に引き取られ、オレは父親と2人暮らしを始めた。父親には言えなかったけど、まだ10歳だったし母親や姉と離れるのは寂しくて。


そんな時だった。お隣、坂木家の一人娘に出会ったのは。


引っ越しの挨拶に行った時、5歳だった苺は初めて会ったオレの足に、満面の笑みでいきなりしがみついてきた。今でもその時の苺の表情まで鮮明に思い出せる。帰ろうとしても、なかなか離れなくて、おばさんとおじさんが困ってたっけ。


その後も『修ちゃん、修ちゃん』と懐かれてしまい……ずっと妹のように可愛がり、大切に守ってきた。苺と一緒にいると、母親や姉と離れた寂しさも少しずつ薄れていくのを感じた。苺を守っているようで、オレの方が支えられていたのかもしれないな。


今となっては他の男が苺を抱きしめ、触るなんて、考えただけでも腸が煮え繰り返る。


大輝に『あんな可愛い女子高生に手を出したら、おまえロリコンだからな』と、いつもの調子でからかわれるが……違うつーの。こんな気持ちになるのは苺だけだ!女子高生なら誰でもいいわけではない。


それに当たり前だけど、中学生だった苺に手なんか出してないし。まぁ、大輝も苺の性格やその辺の事情を分かっててからかってくるんだから……やっぱりムカつく奴だ。


苺は恋愛に感心がないのか?鈍いのか?オレの気持ちには全く気がついてない。どっちかと言ったら後者だと思う。日々の態度を見れば好かれてるのは分かるけど、オレのことを男として見てくれてるのか?


でも、いつかはちゃんと伝えたい。


オレがどれだけ苺を好きかということを……





ーーーーーーーー

ーーーーーー




「修一くん、後片付けは私がやるからいいわよ」


穏やかな笑顔で話しかけてきたのは……苺の母親、莉央さん。


出会った頃はおばさんとか苺のママとか呼んでた気がするけど、いつの間にか莉央さんと呼ぶようになっていた。苺と同じような可愛らしい外見をしてるから、子供心におばさんというのが合ってないと判断したんだと思う。見た目は苺に似てるけど、性格はちょっと違うかな。


カフェに寄ってから苺の自宅で夕ご飯をご馳走になる。昔から父親が出張ばかりしてたから、坂木家で食事をするのはいつものこと。


莉央さんは小学生だったオレを『うちにおいで!一人で食べるより皆で食べた方が楽しいよ』と家族のように受け入れてくれた人。


「あ、オレやりますよ」

毎日食べさせてもらってるんだから、後片付けくらい当たり前だよな。



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