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いつも苺との待ち合わせはほとんど地元の駅前。ここからは徒歩で帰宅できる距離だから、すごく便利な場所だ。
大学の講義が終わって早めに向かったから、待ち合わせの時間まで40分ほどある。苺に早く会いたいけど、高校と大学では授業終了の時間帯が違うから仕方ないよな。
本屋でも寄るかな?辺りをぐるりと見渡して、最近できた大きな雑貨屋があるのを思い出した。
そうだ。ちょっと、覗いてみるか。
そこはインテリアやバス・キッチン用品、文房具、服、化粧品、アロマグッスなど色々な商品が並べてある。これと言って目当てはなかったから、インテリアゾーンからゆっくりと足を進めた。デザイン的な椅子や机は好きだ。しかし今のところ買い替える予定はないから流しながら見ていたら、いつの間にか女の子が好きそうな商品が目の前にあった。その中の1つに惹き付けられるよう手を伸ばす。
これはきっと苺が好きだ!よし。プレゼントにしようと思いつき、素早く手に取りレジへ向かう。これを見たら苺がどんな顔するかな?考えるだけで頬が緩んでいく。……ダメだ。表向きは“いつも爽やかな成田くん”で通っているのに、こんなニヤニヤしてたら、ただのエロおやじじゃないか。爽やかモードに切り替えないと。
頃合いを見計らって駅前の装飾されている大きな時計台付近に移動した。ここからだと駅の改札機が見えるから、電車から降りてきた人には分かりやすい。だけど皆がここを待ち合わせに使うから、周りは人だらけなんだよな。特に今の時間帯は学校帰りの学生達やサラリーマンで溢れている。
見つからないといけないから、とりあえず苺に到着メールでもしとくか。携帯をポケットから取り出した時
「修ちゃん!!」
その声に体が反応する。振り向くと、髪をなびかせて走ってくる可愛い姿が目に飛び込んできた。
「あ、苺!」
「ごめんね。待った?」
まるで恋人に言う台詞みたいに、オレの腕をつかんで極上のスマイルをする苺。毎日会ってるのに、長い時間会ってなかったように感じる。自分で思っている以上に苺に心を奪われているんだ。
「危ないから、慌てて走らなくても良かったのに。オレもさっき着たところだよ」
苺の屈託のない笑顔につられて、オレも爽やかな笑顔で返す。いつも通りすっと横にくっついてきたから、頭をそっと撫でてやった。苺のひとつひとつの仕草や行動がオレの心を鷲掴みにする。
「今日ね、朝からカフェに行けるのすごく楽しみにしてたんだよ」
「じゃあ、早く苺を連れて行かないとな」
2人で苺が行きたがっていたカフェに向かう。地図を確認すると、ここから歩いて5分位だろうか。駅から少しだけ離れた緑のある静かな場所にその建物はあった。
「あ、ここだよ!修ちゃんっ」
苺の細い指の先には……白を基調とした、女の子がすごく好きそうな雰囲気のカフェ。
その名も“strawberry cafe”