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「ぷっ、こわっ。な、それより今日飲みに行かね?お前が来るって言うと可愛い子が集まるんだよ!」
クックと笑い、楽しそうな顔をしてる。大輝は彼女を探したいんだろうけど、その子達はオレ目当てで来るんだろう?それって意味ないよな。好きじゃない女の子にベタベタされるのは面倒くさい。
「今日は帰りに苺と約束してるから無理だ」
「なんだよ。付き合い悪いな!でも苺ちゃんとの約束ならしょうがないか……分かってだけど、修一は俺より苺ちゃんの方が優先だよな」
「当たり前。苺以外に優先するものはオレにはない」
「また堂々と溺愛宣言を。昔からそうだけどさ……」
横でぶつぶつ言っている大輝を無視し、オレ達のいる場所から、少し離れている視線の先をちらっと見ると……胸まであるサラサラの長い髪に、薄めの化粧に整った顔だち、まさに清楚美人って感じの彼女と目が合った。
その瞬間、彼女は頬を赤く染めて何か言いたげに小さく口を動かしたが……『じゃあ、またな』と大輝の肩に手を置き、彼女を見なかったことにしてオレは席をたった。
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楽しそうに会話する声が周りから溢れている。教室や校庭でお弁当を食べたり、学食に向かったりと一斉に賑やかになる昼休み。私も自分の席でお弁当を広げて食べはじめた。
「ねぇ、苺。こんな感じなんてどうかな?」
目の前で一緒にお弁当を食べていた浅野美華ちゃんが、雑誌を私の方に向けながら話しかけてくる。
「うん、すごくいいと思う!美華ちゃんは肩くらいまでの長さが似合うよね」
小学生の頃からずっと一緒の美華ちゃんは高校も同じところを受けた。パッチリした大きな瞳、彼女が笑うと花が咲いたような明るい気持ちになる。背も私より高くて、中身もしっかりとしているし、お姉さんみたいに頼りになる存在。いつもいつも私を助けてくれる心強い味方。
高校入学した時は中学とは違うことが多くて色々と不安でいっぱいだったのに、美華ちゃんと同じクラスになって毎日楽しくてしょうがない。
その美華ちゃんは入学してから憧れている先輩がいるらしくて、先輩好みな女を目指すとかで髪型を変えるか悩んでいるみたい。今のままでも美人だから大丈夫なのになぁ。恋してるのかな?私にはそうゆう気持ちが良く分からないけど……
「苺、どうしたの?」
「あ、ううん。何でもないよ。私もたまには髪型変えてみようかなと思って」
胸まである髪の毛を無意識に指先で触れてくるくると巻きつける。子供の時から、ずっとこの髪型の私。いっそ美華ちゃんみたいに、バッサリと短く切ってみようか。
「えっ!苺は今のままでいいよ。つやつや、さらさらで本当に綺麗だもん。羨ましいよ」