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いちご中毒  作者: 碧野
ふたりの関係
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オレはいちご中毒だ。


それも重度の。



赤くて、種がブツブツあって、甘酸っぱい果実の苺ではなく。うちのお隣に住んでいる可愛い可愛い苺。

ストレートの艶やかな黒髪、影を落とす黒く長い睫毛に大きな瞳、腕の中にすっぽり収まるくらいの小柄な体を見ると思わず抱きしめたくなる。


坂木苺、高校1年生。オレより5歳下。普通なら5歳差なんてどうってことないと思う。

しかし、小さい頃から実の妹のように面倒をみてきた幼なじみとなると5歳という壁はかなり大きい。


もちろん子供の苺に手をだそうなんて考えたことはなかった。あれは……いつだったか?幼なじみとしてではなく、苺を彼女にしたいと自分の気持ちに気がついたのは。同じ学校に通う女の子ならすぐに告白できるのに。


あの可愛い笑顔で「修ちゃんのことは、お兄ちゃんとしか思えなくて」なんて言われたら……無理、無理、無理!想像するだけでも胸がずきんと痛い。これは精神的ダメージが大だろ。


『いちご中毒=恋患い』

この病を完治させるにはどうすればいいんだよ。


大学内の学食で悶々と考えながらも、目の前にあるカレーを口に運ぶ。最近は「苺が好き、大好きだ」 どんな言葉を並べても、恋する気持ちを持て余しているのを自覚している。頭の中ではたくさん愛を伝える言葉が溢れてくるけど、現実では本人に言えないのが悩みだ。



いきなり背後から、がっし!と肩を捕まれて顔をあげた。


「修一、美人で有名な上原さんがお前のことちらちら見てるぞ」

口角をあげ、ニヤニヤしながら隣に座り、小声で話しかけてきた男は佐藤大輝……腐れ縁の友人だ。髪の毛を短めにして、いつも柄の派手なTシャツにジーンズを履いている。


「知ってる」

涼しい顔して答えてやった。ここに座った時から視線は感じていたんだよな。


「うわ、モテるからって……嫌味なヤツだな」

わざとらしく手をあげてオーバーアクションをしている大輝を、面倒くさいと思いつつも返事をする。


「なんだよ。今のオレが苺にしか興味ないのは、おまえだって知ってるくせに」

つい苺を頭に思い浮かべた。それだけで頬が弛みそうになる自分は相当やられている。オレの見た目だけに惹かれ、何もしないでも女の子は寄ってくる。だから知らない子に告白されてそのまま付き合ったこともあるし、お互い了承の元体だけの女の子も……


でも、本当に欲しいのは苺だけ。


「ま、知ってるけど。そうそう、あの苺ちゃんが高校生なんて本当早いよな。可愛いしさ、高校生ともなれば男に告白とかされたりして!女子の友達に彼氏が出来たら影響されちゃうじゃないの?」

「うるさいっ!!」

自分以外の男から苺の名前が出るだけでもムカつくのに、腹立たしいことを口にする大輝を思いっきり睨みつけてやる。



他サイトで公開していたものを加筆・再連載始めました。ご感想や評価して頂けたら嬉しいです。最後まで宜しくお願い致します。

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