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同類

掲載日:2026/08/19

 ──きっと心身共に疲れていたんだと思う。


 夜、明かりを消し、ベッドに横になりながら見るスマホ。

 なんとなくインストールしたSNS。

 世の人がどんなことを吐き出しているのか、ただただそれが気になって眺めていた。

 俺のような人間はいるだろうか、なんて思いながら画面を指でなぞってスクロールする。


 定時を少し過ぎた時間。

 明日の休みを楽しみ帰りの支度をする。

 先輩が笑いながら、追加で持ってくる業務。

 どれも期日が近い資料作成。

 今日彼女とデートなんだ、と帰っていく先輩。

 理解を拒んだ脳はフリーズし、再起動まで時間がかかった。

 所謂呆然。

 さすがブラック企業。


 適当に流し見をしていたところに、通知が1つ。

 DMが届いた。

 こんばんはー、という短い文章。

 子犬のアイコン。

 プロフィールを見てみたら、限界社畜OLと書かれていた。

 まぁ暇だし。

 挨拶を返しだらだらと話し始める。

 お互いのブラックな会社について、今何をしてるのか、趣味とかあるのか、明日は休みなのか。

 境遇が似ているからか、趣味が似たようなものだからか、存外やりとりは楽しかった。

 ただ、


 ──私は君の味方だからね。

 ──何かあったら遠慮なく愚痴ってね。

 ──仕事環境も似てるし、私なら君を理解してあげられる。


 連投された文章。

 受け取った瞬間、脳が理解した。

 あぁ、この人は同じ境遇の者達で愚痴り合いたいんじゃないんだ。

 自分より下の人間を探して、自分より下がいるという現実に喜びを感じ、マウントをとっているのだ。

 SNSなんてそんなもんか。

 楽しく感じていた数分間が、瞬く間に虚無へと変わる。

 俺はSNSに何を求めたのか。

 同類を探していたんじゃないのか。

 同類を探してどうしたかったのか。

 結局は相手と同じ。

 あぁ、この人達も大変だな、俺はまだまだ大丈夫だな、と見下していたんじゃないか。


 ── きっと心身共に疲れていたんだと思う。


 会話を中断し、アプリをそっと削除した。

 スマホの電源を切り、暗闇に包まれる。


 俺はまだ落ちたくない。

 そう思いながら、迫る眠気に意識を手放した。

筆者の心情100%搾りたてジュースのおかわりいかが?

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