亀裂
「おい、てめえら。いま出て行った刑事を殺してこい」
若い衆にそう命令すると、そいつらは不満げな顔で言った。
「いや、兄貴。刑事を殺すのはさすがにまずいですって」
反論や否定ばかりする生意気な奴らにむかっ腹が立つ。
「お前ら。誰のおかげでストリートででかい顔が出来ていると思っているんだ? あんま調子こいてるとお前らを殺すぞ」
「ですが……」
まだ言葉の意味を理解できていない若造に鉄砲を向ける。
「あ? あんまし俺のこと舐めんなよ? 撃ち抜くぞコラァ」
「す、すみません……やってきます」
若い衆はびっこを引きながら部屋を後にした。
「あいつら……一度痛い目に遭わせないといけないみたいだな……ったく」
部下の教育ほど煩わしいものはない。
そう、強く思った。
「逃げられたって言い訳しようぜ」
「そうだな。本当にあいつは狂ってるよ。葉っぱを裏で吸ってブリブリになっているんじゃね」
「あはは。その冗談傑作だよ」
頭の悪口に花を咲かせていた。こうした仲間との息抜きが気分転換になる。
「でもさ、刑事を始末しとかないとあとで面倒なことになるんじゃないか?」
まだ十四歳の、だが頭はチームで一番切れる少年がそう言ったので、どういうことか尋ねる。
「あのさ、轟が逮捕されることになったら組事務所がでかい顔して今までの滞納分のみかじめ料を一括で支払え、って言うんじゃないかなと思ったんだよ」
「たしかにそりゃあ面倒だな……みかじめ料を支払えなかったら俺たちは殺されるだろうからな」
「まあ、全部の件を轟に吹っ掛けて責任転嫁してやるのもいいかもしれないがな」
「そりゃあいいな」




