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アウトロー・ザ・ビースト  作者: 彼方夢
第一章 LSD事件

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2/21

仲間集め

 クラスメイトの皆家への扱いが明確に変わった。

 訝しんではいるものの、危害を加えようとは誰もしなかった。

 よく吠える番犬を飼い慣らせばこうなるのもまた必然かな。

 すると教室の扉が豪快に開かれた。 

 思っていたところに番犬こと悟が現れたのだ。


「おい、行くぞ」

「どこに?」

 今は昼の十二時。昼食に肖りたいわけだが、邪魔されたので仕方がない。悟の元へとお握りを咀嚼しながら近づいた。

「てめえ。飯食いながら面見せやがって」

「お前が呼んだんだろ?」

 苦虫を噛み潰したような顔をする悟。

「まぁいい。早く行くぞ」

 廊下を歩きながら悟は語り出した。

「隣町の宙輝高校、知ってるか?」

「ああ。偏差値40程度の、ここと同じ底辺高校だろ?」

 悟が怒りからなのかギラついた眼を向けてくる。全く、威勢だけはいいな。

「そこが市内の学生に売りつけているcbdに微量のLSDを混ぜてボロ儲けしているらしい」


「警察の麻薬捜査本部の見解は?」

 悟は舌打ちをして睨みつけてくる。

「ポリには頼らねえ」

「じゃねえって。警察も絶対に情報を持っている。警察の記者クラブから公式に注意喚起があったはずだ。どうなんだ?」

 皆家のその言葉に目を丸くさせた悟は、坊主頭をガシガシと掻いて、

「いや、すまん。分からねえ」

「……それで、俺を呼んだ理由わけは?」

「俺等の学生にもLSDの危害が見つかった。だから、抗争だ」


 馬鹿馬鹿しい。こういう不良のノリが嫌いだ。中学生のときは憧れていたときもあったけど、それは小学生がテレビの奥のヒーローに羨望するようなもの。つまりは住む世界が違うというわけだ。

「俺に何が出来る?」

「参謀を任せたい。頼むぞ」

 そうしたら体育館倉庫裏にいつの間にか着いていた。

 そこにいたのは屈強な金髪男と、銀髪ギャル。そして、坂城だった。

 皆家は坂城の存在を知って苦笑してしまう。

「お前には負けたよ」

「なんのことだか」

 坂城は含み笑いを見せる。

「っていうかあ。ネイル行きたいんだけどお」

 爪を触りながら怪訝な表情をしているギャル。

 そいつをぴしゃりと睨みつけ、詰め寄る屈強な男。根っからの80年代的ヤンキー、みたいだ。

「少しは統率感を持て! 昴」

「下の名前で呼ばないでって言ってるでしょ! 豪!」

 そんな感じにギャル――昴と屈強男――豪の言い争いを端から見ていたら坂城に声を掛けられた。

「こういう青春もいいだろ?」

「そうか?」

「いつか気付くときが来るよ」


 しばらく時間が経って、悟が煙草を吸いながら言葉を発した。

「どう相手にお灸を据えるか、意見があるか?」

 皆家は少しだけ考えるふりをしてから、言った。

「cbdのルートは?」

「多岐に渡る」

「だったら一本化してしまえばいい」

 悟が皆家に対して唾を飛ばすほど怒鳴った。

「軽々しく言うな!」

「cbdを市場より安く売ればいい。そうやって事実上独占状態にさせるビジネスモデルもある。それで校内の生徒は守れるだろ?」

「凄く賢い。何でこんな学校にいるの?」

 ギャルが微笑みながら言った。

「まあ、色々あったんだよ」

「奴らがでけえ面してんのが気に食わない」

「だったらそれこそ……」

 皆家は長く息を吐いた。



「戦争だろ?」

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