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庭師の俺がなぜかお嬢様に誘われて領地に現れたダンジョンを探索しに行くことになった  作者: けろよん


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第5話 ダンジョンの謎

 ダンジョンを進んでいくうちに、周囲の雰囲気が徐々に変わり始めた。

 最初の方はただの迷宮のような構造だったが、次第に壁の装飾が凝ったものになり、通路も広くなり、何か古代の遺跡のような気配が漂ってきた。壁には奇妙な文字が刻まれており、道の端にはかつて誰かが使ったと思われる道具の破片らしい物が散らばっていた。


「これは……一体何なんだろう?」


 俺は足を止め、周囲を慎重に見渡した。

 明らかにただの自然発生したダンジョンではない。何かの重要な意図があって構築されたことは明らかだ。しかし、まだその正体は見えてこない。

 マリアも俺と同じように興味深そうに周りを見回していた。


「不思議な場所。私の想像とも違っています。これがみんなの攻略しているダンジョンというものなのでしょうか」

「お嬢様、このダンジョンはかなり古いようです。これだけの遺物や文字が残っているということは、何か重大な秘密が隠されているかもしれません」

「そうですね、カナデさん。ますます自分で攻略して解明したい思いが強くなりました」


 マリアは力強い言葉を口にした。

 その目にはただの少女の好奇心だけではない、何か決意のようなものが宿っていた。

 このダンジョンが領地に現れたという事実は、普通の冒険者の手に委ねるわけにはいかない。お嬢様は自分の領地に何が潜んでいるのか、誰よりも自分で確かめたいのだろう。


「ですが、お嬢様、この先は危険かもしれません。今なら引き返して調査隊を派遣する事も……」

「大丈夫ですわ、カナデさん。私いざとなったら一瞬でダンジョンから脱出できるアイテムを持ってきているんです。カナデさんも一緒に連れていってあげますから安心してください」

「え!? そんなものが!?」


 庭師の仕事しかしてこなかった俺にはあまりダンジョン攻略の知識は無かった。改めて彼女は聡明で勇気ある領主の娘なのだと意識してしまった。


「カナデさんが案じている事も分かります。ですが、私はこの土地の領主の娘として、何もわからずにこのダンジョンを放置するわけにはまいりません。私がしっかりと解明しなければ、このダンジョンの存在がさらに問題を引き起こすかもしれない」


 マリアの言葉には確かな覚悟が込められている。

 それでも、俺の心の中では、プロの冒険者を雇うべきだという思いが強くなる。

 もし、ダンジョン内に本当に危険な存在が潜んでいるのなら、素人だけでは乗り越えられない可能性が高いからだ。


「お嬢様、せめて誰か護衛を雇いませんか? プロの冒険者がいれば、俺たちももっと安心して調査ができるはずです」

「それは駄目よ。私が冒険者組合に顔を出せば、すぐにでもお父様に伝わって止められるに決まってますもの。私は屋敷の者達にも今日ここに来ることを伝えていませんのよ」

「え!? 本気なんですか、お嬢様?」

「危険も考えたわ。確かに、ダンジョンは今までのような安全な場所ではないかもしれない。でも、私だって領主の娘として腕を磨いてきたという自信があるわ。それに、いつかは私もお父様とともに敵国と戦う役に立ちたいの」


 お嬢様は決して譲らなかった。その目の奥に見える強い意志を前に、俺は何も言えなくなった。

 確かに、領主の娘としての責任を感じているお嬢様が自分の領地の危機に立ち向かう姿勢には、俺も心を動かされる。だが、やはり心配は拭えない。


「でも、万が一のことを考えると、どうしても心配で……」

「わかってますわ、カナデさん。でも、今はこの先にある物を見てみたいの。もちろん、無理をしないようにするわ」


 マリアは少しだけ顔を赤らめ、けれど決意を示すように言った。その姿は、今まで見たことのないような力強さを感じさせた。


「もし、途中で危険を感じたらすぐに引き返して脱出することにします。ですから、カナデさん、私を信じて付き合ってください」


 その言葉に、俺はしばらく黙っていた。確かに、お嬢様の決意を前にすると、引き下がることはできない。それに、彼女が自分で解明したいという気持ちもわかる。しかし、心の中では依然として不安が残っていた。


「わかりました、お嬢様。あなたがそこまで言うのなら、俺も全力でサポートします。でも、無理だけはしないでください」

「ありがとうございます、カナデさん。あなたなら分かってくれると信じていました」


 お嬢様は心からの笑顔を浮かべ、俺を見つめた。その笑顔に、俺も思わず頷くしかなかった。


 こうして、俺とマリアはダンジョンのさらに深層へと進んでいった。

 このダンジョンに何が隠されているのか、そして、領地に現れたこの謎が何を意味しているのか。

 その答えを見つけるために、俺たちは一歩一歩慎重に進んでいくのだった。

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