哀歌問答
「ねえ、聞いても良い?」
夫の言葉に私はメンテナンスをしながら返事をする。
「なに?」
「人間は何でロボットにこんな機能をつけたの?」
「こんな機能って?」
自分の手が慣れた様子で動くのが少しだけ寂しい。
自分を慰めるのばかり上手くなっちゃって。
「人を愛する機能だよ」
ついに聞いて来たか。
いつか聞いて来るとは思っていたけれど……。
「ごめん。言いたくなかったら言わなくていいよ」
夫の言葉に私は首を振る。
確固たる答えのある私にとっては別に腹の立つ質問でもない。
「簡単な話だよ」
私は夫の首を胴体に繋ぐ。
「人間は誰かを愛する事が出来ないから。だからロボットに人間を愛する機能をつけさせたの」
首と胴体が繋がった夫は。
ロボットは解答を受け取ってもすぐには答えなかった。
「ちゃんと動く?」
「うん。ありがとう」
慎重に自分の身体が動くかを確認していた夫は満足気に笑うと私の身体を軽く抱きしめた。
「不器用だね。人間って」
「自分本位なだけよ」
求め続けた愛に包まれながら私は満足気に笑った。




