第93話 ユリユリと言えばやはり、硬派の女性走り屋でしょう? (10)
そして陸橋の上──。みなさまが私のことを待ってくれている場所へと着けば。
「可憐ちゃん、見て! 見て! あれを見て~!」
副総長のぶりっ子──。少しばかり言葉の口調が緩やか……。まあ、悪く言えばのんびりとした口調の副総長──松田さまが夜空を指差しつつはしゃぐから。私は副総長さまが何を指差しつつはしゃぎ、何を見るようにと言っているのだろうか? と首を傾げると。
「可憐、彩はあんたに、この場所から見る夜空の星は綺麗だろう、と告げているんだよ」
と親衛隊長さまの木下優さまが微笑みながら私へと教えてくれますと。
「そうそう」
「好いだろう?」
「綺麗だろう?」
「センチメンタルだろう?」
木下優さまに続くように私へとチームのみなさまが問いかけてきた。
だから私は副総長さまが指さす方向へと視線を変え──。夜空……。星を眺め観察……。
それと西広島バイパスを勢いよく走る車のテールランプとを交互に見詰めてみると……。
「確かにみなさまの言われる通り、綺麗ですね……」
と、自分の口から自然と声が漏れ。
「私、このような光景……。夜景を見るのは初めてです……」
とも告げ。
「みなさまとの出会いがなければ、このような煌びやかな場所へと連れてきてもらことなどないまま、私は人生を終えることになったと思います……。だからみなさま、本当にありがとうございます……。今後ともよろしくおねがいします……」




