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第57話 ヒーローさま! (15)
あの日、私自身が、謎のヤンキー姉ちゃんさまに間一髪……。
そう私は、もう少しでヤンキーの兄ちゃんさまから凌辱……。強姦……。好みや興味もない殿方に種付けされ、妊娠する可能性もあった私ですから、先ほどまでは自分の気を張り! 勇み! 凛々しく! 最後まで諦めず、抗っていた私でしたから。
いざ自分が悪逆非道なヤンキーの兄ちゃんさまの魔の手から救われたのかもしれないと思えば。
私の今まで張りつめていた身体中の気と力が完全に抜けてしまい。
私は年相応の少女らしく、正義の味方……。スケバン刑事の、麻〇サキさまのようなヤンキー姉ちゃんさまへとお礼を告げるのも忘れるぐらい。
「うわぁ~ん、うわぁ~ん」
あの日、私は更に声を大にして泣きだしたのでした。
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