第54話 ヒーローさま! (12)
「えっ!」
我に返った私は驚嘆──!
そして「きゃ~!」とまた絶叫を上げ。
「いや~ん」、「いやだ~」、「辞めて~」、「辞めてください~」、「おねがい~」、「許して~」
と、私は自分に覆いかぶさっている、ヤンキーの兄ちゃんさまへと嘆願とお許しを乞う。
だけど私に覆いかぶさるヤンキーの兄ちゃんさまは、何度も『I Love You』を囁いてきたように、どうしても自分の物にしたくて仕方がないから。私の頬を叩く、殴ると言った荒々しい折檻こそしてきませんが。
私の胸に、『フンガ! フンガ!』と鼻息荒く食らいついてはくるし。私のスカートの中に忍び込んで悪戯している手は、とうとう下着を強引に脱がし始めたので。
「いや~ん!」、「辞めて~!」、「おねがい!」、「おねがいします~!」、「ゆるしてください~!」
あの時の私はいよいよ、自分の身が危うい! 不味い! このままでは本当にヤンキーの兄ちゃんさまに種付けされてしまい。彼の物になり、責任をとってもらわないといけない状態へと陥るようになるので。
私は最後の力を振り絞り、自分の足で抗い始める。
しかし私に覆いかぶさるヤンキーの兄ちゃんさまは優しく微笑みながら。
「大丈夫……。痛くないから……」
と私へと囁き。
「君のことを大事にするから……」と。
「I Love You~」
と気持ち悪く囁いてきたから。
『うぎゃ~!』、『おぎゃ~!』、『ギャギャ~』と抗い続けた。絶体絶命に陥っている私なのでした。
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