第35話 令嬢様、無双! (5)
だから今度は二人揃って仲良く刹那……。
「うぅ、うううううう」
と呻りながら自分の顔……。血が出ている鼻を抑える者と……。
「痛、たたた……」
と悲痛な声を漏らしつつ前かがみになっている、ヤンキーの兄ちゃんさま達へと別れたから。私は前かがみへとなっているヤンキーの兄ちゃんさまの背後へ素早く詰め寄り。彼の前へと周り込めば。慌ててヤンキーの兄ちゃんさまの顔へと前蹴り──!
そう、サッカーボールを蹴る、の如く、蹴ってやりました。
《ドン!》
と、鈍い打撃音と共に、彼の口から。
「うわぁ、ああああああっ!」
と絶叫が放たれ、彼も後方へと反るように倒れ込む刹那状態へと堕ちいるから。
その後は、他のヤンキーの兄ちゃんさま達と同じで、自分の鼻から垂れる鼻血を抑えつつ芋虫のようにのたうち回るから。
『ホッ!』
勝利を確認した私は、自分の胸に手を当てつつ安堵する。そして気も緩ませるから、強張っていた顔を綻んで緩やか、穏やかなな者へと変わるから。私は隣のクラスの乙女達へと視線を変え。
『よかったですね』と『もう大丈夫ですよ』と告げようとすれば。
「白鳥さま~!」
「可憐さま~!」
「後ろ~!」
「危ない!」
「危険~!」
「可憐さま~、避けてください~!」
隣のクラスの乙女達から絶叫染みた声音で、私へと危険を知らせる声が放たれるから。
「えっ!」と驚嘆した、私でした。
◇◇◇




