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第211話 可憐様は御友人様の為に舞うのです!(16)
だからいつもの安子さま~ではなく、恥じらいある少女へと変わり、己の身を好きでもない、好意もない相手へと差し出すことでシクシクと泣いていた彼女も泣き止むのを流石に辞めて、
「……か、可憐……。あ、あんた……。な、何をしているの?」と。
安子さまは唖然、呆然としながら私に尋ねてくるけれど。
私の方が彼女へと『何をしているのですか、貴女は? しっかりしなさい!』と一喝したい衝動に駆られている訳ですから。
「……何をしているって、貴女……。私はただ、自分の御友人である安子さまを助けにきただけですが……。そんな言い方で安子さまに尋ねられると私の方が悩んでしまいますわ」と。
私は安子さまの問いかけに対して苦笑を浮かべながら言葉を返せば。




