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第205話 可憐様は御友人様の為に舞うのです!(10)
超悪者変態なヤンキーの先輩の悪徳代官や商人のような台詞が物静かな公園内で騒がしく響けば。
「……か、可憐……?」と。
安子さまの驚愕した顔と声が私の瞳に映り、耳へと聞こえるから。
「──安子さま! そんな破廉恥な御姿でいつまでもボォ~としていますの~? 早く立ちあがって、その変態男へと天罰を~! 天誅を与えてあげなさい~!」
私は安子さまへと凛と凛々しく急かすように催促をした。
「……で、でも……。うちが先輩に楯突くと、新ちゃんが酷い目に遭うから。うちは先輩の言うことを聞かんといけん、のんじゃけぇ……」
しかしこのお通りだ! 安子さまは完全にいつものような士気高く、覇気がある様子ではなく、只の恥じらいある普通の少女へと変貌……。
ペガサスに騎乗する私の眼下で、超悪者変態なヤンキーの先輩さまに騎乗──調教を受けたままの状態で抗うこともしない、無抵抗な町娘と化しているから。




