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第196話 可憐様は御友人様の為に舞うのです!(1)
「うぅ、うううっ。新ちゃん……」
先ほど超悪者変態なヤンキーの先輩に自分の愛車、スカイラインの方を見て確認してみろと告げられた安子さまは、自分の顔色を変え慌てて車を確認した。
すると薄暗い中でもスカイラインの車外には超悪者変態なヤンキーの先輩のお連れさまだと思われるヤンキーの兄ちゃんさまが二人、後部ドアの両サイドに立ち、気弱な様子の安子さんの様子を窺っているのが確認できたから。
(……一人じゃ無く、三人も居るんだ)
と、安子さまは思えば、更に彼女は切なく悲しくなる。
だから安子さまは冒頭のシーンの通りで、自分の両目を潤ませ、嗚咽を漏らし始める。
すると今度はスカイラインの運転席、助手席の間……。真ん中の位置の後部座席で、両手を何かで束縛されている男性の姿……。
それも暴れ始める男性の姿が薄暗い中でも安子さまの濡れた瞳に映り、確認できるから。安子さまは後部座席を必死に見て確認すれば、暴れる男性は彼女の愛おしい新ちゃんのようだから。




