第160話 可憐様は御友人の動向を窺うようです(3)
「うちは別に怒っていない……。只の可憐の被害妄想だ……」
と、安子さまは遠くの席にいる私へと遠回しに冷たく淡々と告げるのみだから。
私はその都度「うわぁ~」と「しくしく」と悲しくなるのですが。
私は我が学園の生徒会長であり、レーシングチーム【堕天使】の総長さまでもある麻宮ユイお姉さまから安子さまの貞操を必ず守り、彼女が心に大きな傷を負わないようにするための密命も受けていますから。
学園の生徒会での風紀委員の御仕事……。毎日のトイレ立ち入り検査や部活室の立ち入り検査、屋上の立入検査……。
そして一番気をつけないといけない場所……。学園近くの駅のロータリー……。
まあ、凝りもしないと言うか? ヤンキーの兄ちゃんさま達が狼さんへと変貌して我が校のヤンキーの姉ちゃんさま達を涎を垂らしながら見定め、狙い、ナンパのを阻止するための御仕事の最中も『チラ』、『チラチラ』と私は安子さまの行動を窺う日々が続いています。
そして深夜のチームの集会の最中も安子さまの動向をさり気なく……。
そう私も自分の愛車──。《《じゃじゃ馬》》の異名をとる黄色いカラーのKawasakiの500SSマッハⅢに搭乗しながらツーリングの最中も、彼女の愛車スズキのGS400の横や後方につきつつ監視を続けた。




