第159話 可憐様は御友人の動向を窺うようです(2)
我が家の執事のセバスチャンは相手の方──興信所の探偵さまへとかくかくしかじかとカーテレホンで会話……。こちらの旨を伝えるとカーテレホンを切り置けば。
「可憐お嬢様……。では出発します……」
と、いつものように優しく爺やは告げてくれた。
「はい、おねがいします……」
私はそんな爺やへと物静かに言葉を返し、瞼を閉じて、初めてできた喧嘩のできる友人の一人安子さんの身を案じるのだった。
◇◇◇
《チラ》、《チラ、チラ》や。
『ジィ~~~!』と授業中や休憩時間……。事ある毎に……。
そう私が安子さまからショックが大きい言葉──! 私も生まれて初めて知人から言われた言葉……。
『可憐なんか大嫌い~!』と罵声を吐かれた後日から、私は自分が策した計画通りに安子さまの身をそれとなく……。時代劇の忍びさまや刑事ドラマの張り込み中の刑事さま、ドラマの探偵さま達のように安子さまの動向を窺うのですが。
偶に安子さまと目が合えば。
《プイ!》
と、ツンツンと素知らぬ振りをされるから。私はその都度辛いから。
「うえぇ~」となるのです。
だからそれに気がついた山田さまやクラスメイトのみなさまが。
「おい! 安子! もう可憐の事を許してやれよ~!」
「ヤンマーの言う通りだ!」
「そうだ!」
「その通りだ!」
「もう、そろそろいいだろう、安子……。可憐の方も一言も二言も多かったと反省をしているのだから許してやれ……」
「そうだ! そうだ!」
「安子もけっこう意地を張って! しつこいぞ!」
「可憐が可哀想だ! 許してやれ!」
「そうだ!」
「その通りだ!」
と私のことを優しく庇ってくれるのですが、当の安子さまはと言うと?




