第127話 可憐様は友人のトキメイタ顔を見て驚愕する(1)
「あっ、新ちゃん……」
「よう、安子! 元気だったか!」
「うん」
この夕暮れ時……。茜色に染まるにはまだほど遠いい、太陽さんがランランと頭上で眩しい時間帯の中……。若い御二人さまは……。
この私、白鳥可憐が、『あちょ~!』、『あちゃ~!』、『ちょ、ちょ』とファイティングポーズをとっていたにもかかわらず御二人さまは仲良く声をかけ合い。微笑み合う……と言っても?
微笑んでいるのは安子さまへと声をかけた容姿の整ったヤンキーの兄ちゃんさまの方で。声をかけられた安子さまの方はいつもの無表情で頷いたのはいいのですが。
この私、白鳥可憐はと言うと?
今から安子さまと喧嘩を張る予定でしたから、この高ぶった荒々しい気持ちと、このファイティングポーズ……。
そう何処かの公園のオブジェや銅像のようにファイティングポーズとり、立ったままの容姿でいる私は一体どうしたらいいのでしょうか? と切なく思えば。
「……可憐、お前! 何をしているんだ?」
私と同じ堕天使の特攻隊で風紀委員でもある同級生の山田さまが竹刀で野球のバットの素振りでもするかのように振りながら、苦笑いを浮かべつつ尋ねてきました。




