プレリュード
―2006年8月31日。
夏も終わりを迎える日。
『それ』は、遥か遠くからやってきた。
『それ』は、東京へ落下した。
そして
『それ』は、一瞬にして東京を侵略した。
これが全ての始まり。
―5年前。
東京駅に突如として落下したのは、細長い巨大な『棒』の形をした落下物。その中から出てきた『侵略者』が一瞬にして東京を侵略した。
侵略者の名は『音楽』。
『音楽』の身長は120㎝程度の白色のマーチング衣装を着た小柄な『少女』達。『音楽』は『楽器』の演奏で侵略を始めた。
そして、『音楽』が奏でる演奏を聴いてしまった人達は全員。
『楽器』に姿が変わってしまった。
トランペット。
トロンボーン。
チューバ。
クラリネット。
サックス。
そのほかにも色々な楽器に姿を変えられてしまった。
たった1日で首都『東京』は『音楽』により壊滅し、そして『音楽』は各地の都心部へと侵略を開始。1週間後には日本全土の人口は急激に減少していた。
――同時刻に日本以外の国々には、『音符』が落下しており、そして同じく中から『音楽』が現れ侵略を開始していた。それによって、世界全体の人口も同様に減少していた。
人類は未だかつてないほど程、絶滅の危機に陥っていた。
僕は、その時小学1年生だった。テレビで中継されていた光景を見て恐怖しかなかった。母はすぐさま僕を避難させようとした。ただ、僕には心残りがあった。
そして僕は幼馴染の『鶴瓶京子』と離れ離れになってしまった。
今どこにいるのか。なんならもう『楽器』にされているんじゃないか。
それは、今も分かっていない。
―そして『5年後』の今。
今もなお世界の人口は減少。楽器は増加していった。各地の都心部は完全に壊滅。今では人間は山の中へ住処を移すことを余儀なくされていた。
そしてこの時代にはもう『学校』なんてものはなかった。小学生、高校生であろうとも。それはもう『小学生』である。『高校生』である。という単語でしかなかった。
生き延びた人々はただ、いつ『音楽』が現れるか。そんな恐怖におびえる日々が続いている。
そんな世界でも尚、都心部のビルの屋上で住んでいる僕とタケはある『計画』を企てていた。