忍者部隊
7月2日改稿しました。
俺達は傷を押してトーポ君捜索を続けた。
手分けしてでなく皆で一緒に。
近所に聞き込みをする。
歩いてる人家にいる人。
目撃情報はないか。
知人もそうでない人にもこつこつと。
少しでも手掛かりが欲しかった。
しかし四十分して有効な情報はなかった。
ちょっと疲れた。
「うーん、見なかったですね」
公園で遊んでいる学校の友達等にもあたってみた。
しかしこれも反応は芳しくない。
「知らない」
俺は子供に聞いた。
「何か変わった所なかった?」
すると意味は分からないが少しだけ有力な情報が出た。
「うーん。彼時々完全にいなくなるんだ」
「いなくなる?」
子供は続ける
「うん、トイレ行ったのかとか思って周りにいなくなっていきなりそこに現れて『いたよ』みたいな」
同行しているトーポ君の父親に聞いた。
「似たような事象は前にありました。トーポは体が光るだけでなく透明になった事があるのです」
「え?」
さすがに透明、はびっくりする。
先に言って欲しかった。
「じゃあよく分からないけど今透明になってたら見つからないじゃないですか」
ロミイは言った。
「でも子供一人でそんなに遠くへ行くわけが」
「と言う事は攫われている可能性が高い」
俺達は悪い推測をした。
「でも攫うと言うよりロベイアンの時の様に家に押しかけてこないね」
ティルは言った。
ティルが言った。
「もしかして、エクスド軍はこの町の誰が神族なのか情報がないのかも知れないわ」
「そういえばさっき徘徊してた連中も『どこだ?』って聞いてたわよね」
俺達はさらに聞き込みを続けた。
すると有力な情報を得られた。
「確かに見た。でも攫われた感じじゃなく、まるで何かにつられて操られるように歩いてた」
「操られるみたいに?」
「うん、意識がない操り人形みたいに」
「どっちの方ですか」
「森の方」
トーポ君の父親は言った。
「そういえば昔トーポは『森の精が呼んでる』と言い森の方へ向かった事がある。意味が分からなかったが確かに釣られて意識がないみたいだった」
ティルは言った。
「もしかしてトーポ君は木の神族の末裔? 木の神族は遠くからでも木の誘うような声が聞こえるのよ」
「じゃあトーポ君は森に?」
「攫われたんでなければ」
「森に子供が言ったら攫われてなくても危ないわ」
「急ごう」
俺達は町を出ようとした。
すると突如、兵ではない装束に身を包んだ敵意むき出しの戦士達が三人無言で現れた。
言葉がなくても完全に敵。
俺は聞いた。
「何だ」
「我々はエクスド軍忍者兵、貴様がスカーズだな」
「くっ」
二人が答えた
「我々は一般兵の様に単純には行かんぞ」
「この趙、宇、魁が相手だ」
「うわ!」
いきなりだった。
その内二人が俺とティルに手裏剣を投げて来た。
ティルは素早くかわしたが俺は手に食った。
「痛い」
「スカーズ、ひるまないで!」
俺は痛みを押して撃った。
「よし、エアショット!」
力を込めエアショットを出したが忍者は慌てない。
「ふん」
宇はこれを余裕綽々で最小限の動きで軽くかわした。
俺は続けた。
「ならエアカッターだ。これなら二つ出せるぜ」
おれはひるまずエアカッターを放ったがこれも宇と魁にさっと苦もなくかわされた。
これまでの誰よりも速い。
速いだけでなく、身のこなし等も一般兵士と違う。
「何てスピードだ」
「俺達はそんなに上級忍者じゃない、お前が弱いんだ」
敵は構えた。
「今度はこっちの番だ」
趙は俺目掛け三発手裏剣を放った。
「よけきれない!」
その時ロミイが俺の前に立ちふさがった。
「ロミイ」
「機械の体の私には手裏剣は効きません。私の後ろに隠れて」
「でも女を盾になんて」
「後ろに隠れてエアショットで攻撃してください」
「分かった!」
この戦法に意表を突かれたのか趙にエアショットを当てる事が出来た。
少し痛がった趙は何やら構えた。
「宇、魁! 奥の手で行くぞ」
「え?」
三人は分身の術を使った。
一人が三分割で合計九人だ。
「くそ、どれが本物か分からない」
俺は連続でエアショットを撃ったが二つとも偽物で効かなかった。
「俺は連続発射に慣れてないんだ」
挿話、書き直しはまだ続きます。