怨念と救えない虚しさ
2月24日改稿しました。
「ぐ、ぐぐぐ」
「アローザー!」
「その男の体は氷によって体温が下がると同時に呪いによって痛みを増し激痛にうごめく事になる」
「がああ」
激しく苦しむアローザー
「アローザー、交代だ!」
「ま、まだだ、タオルは投げないでくれ」
「!」
ロベイアンは笑った。
「何をそんなに意地張ってるんだ? 仲間と交代しろ、貴様の体はくちはてるぞ」
「俺は、まだ……!」
「まだなんだ? お前を地獄へ誘う呪いの声が聞こえんか?」
「聞こえるわけねーだろそんな悪魔どもの声なんか」
「悪魔ども? はーっはっは!」
「何がおかしいんだ」
「お前に教えてやる。アブドリーの注入した呪いは全て今まで殺した人間の怨霊から来てるんだよ」
「なっ⁉」
「どう言う事か分かるよな? これまで殺した民族達は抵抗むなしく叫びをあげ散った。もっと生きたいと叫びながらな!」
「!」
「無力にも我がエクスド軍に逆らい力なく散った無数の人間の叫び、そして最近では貴様の親族と仲間だな」
「!」
「貴様の親族と仲間の無念の怨念が貴様を地獄へ呼んでるんだよ」
「貴様は抵抗むなしく死んだ人間のむなしさが一ミリでも分かっているのか?」
「知らんな。俺は国の命令に従い涼しく人間を始末しただけだ。俺に責任はない」
「何⁉」
「と言いたいところだが、俺がエクスド軍にいるのは何の気兼ねもなく神族や迫害民族を次々に殺せるからなのよ。叫び泣く奴らを逃がさず最後の一匹までな。確かに大儀的には我が国の宗教に反する主義を消すのが目的だが、俺個人はただの快楽でやってるのよ。特に弱い女や子供を殺すときに俺の喜びは頂点に達する、ふふ」
「……」
「さあ、貴様の同族の悲しみの怨念で地獄へ行け」
「ぐ、ぐううう!」
「何だ?」
「俺はそんなものに負けない、いや俺の同族たちは怨念で人を地獄に落としたりしない! 地獄ってのはてめえみたいなやつが行くところだ」
「そろそろ死ね」
「う、う、うおおお!」
アローザーの何かが弾けた。
「馬鹿な! 呪いを断ち切れるはずがない!」
「うおおお!」
アローザーの渾身のパンチがロベイアンの顔を変形させ吹っ飛ばした。さらにアブドリーも殴った。
俺はさっきから確かにロベイアンの言う事を聞いて怒っていたけどでも爆発しなかった。
何て言うか心底救えないやつだって言う虚しさで。




