驚異の防御力を破れ
3月3日改稿しました。
「スカーズ!」
「スカーズさん!」
薄れゆく意識の中ティルとロミイが来てくれた。
「私が表に立つわ」
「私も!」
ティルは毅然と、ロミイは叫ぶように言った。
だ、駄目だ二人共、くっ体が。
「スピード重視のフォームよ」
さらに軽量化され色も変わったティルのコスチューム。
ロミイは言った。
「ここでは爆破被害が大きくなるから爆弾は使えない。ティル、お願い!」
「分かったわ」
ティルは左右に素早い動きで走り回り、飛んでくる火の玉をよけたり立ち止まって牽制の光の矢を撃ったりして距離を縮めた。
俺はつぶやいた。
「よせティル、そいつは攻め方云々じゃなく強すぎる、逃げる事を考えろ」
しかしロミイは言った。
「私だって逃げないわ。ティルも同じ気持ちよ」
「ロミイ……」
俺が戦う、立ち上がる。
しかしロミイは言った。
「寝て体力を回復してください」
「駄目だ。俺が」
「良いんです。こんな時こそ」
ロミイも前に出て行った。
「止せ! 君はティルみたいに素早く動けない!」
しかしロミイは駆け出した。
ティルは素早い動きで近づいたが至近距離で火の玉の連撃を受けた。
「ティル!」
「はああ!」
ロミイもティルをかばう為の様に突撃した。
嫌な予感通り彼女も火の玉を受けた。
「止せ二人共! 俺が戦う!」
そうだ。俺は倒れてられない。
皆を理想郷に連れて行くと誓ったんだ。
仲間だって死なせない。
「うおおお」
しかしロミイが水を差した。
「駄目です! まだ寝て回復して力を溜めて攻撃してください!」
「そんな! 二人を囮になんか!」
ティルも言った。
「スカーズ! 貴方はここで死んじゃ駄目」
「!」
「しかし!」
俺は力を振り絞って立った。
するとミーモルさんが話しかけてきた。
「スカーズさん、あの二人を信じて」
「え?」
「あの二人は貴方を生かす為犠牲になってるのよ」
「……!」
「それはあなたを心底信じ大事に思ってるからよ」
「!」
ミーモルは続けた。
「私、チャッカとお互い犠牲になろうとし過ぎたのよ。だからこんな事になった。頼ったり守ったりのバランスが取れれば良かった。それは信頼が大事。自分だけで背負うんじゃなくて人を頼る事、だから今は辛くてもあの二人を信じて力を溜めて。二人共何て言うかスカーズさんの事を信頼だけじゃなく、そのさ」
「え?」
「スカーズさん、女の子の気持ちもう少し鋭くなった方がいいよ。でなきゃ女の子はあそこまでしないよ」
「え?」
そして俺は辛いけど力をマックスまで溜めるんだ。
「きゃあああ!」
二人共凄まじい火炎連弾を受けている。
このままでは死んでしまう。
俺は微力の雷を指から発生させ空気と合わせた。
小さい雷と空気を複合させる事。
いつも練習していたのが成功した。
「よし! 稲妻複合エアショット!」
しかし、これも効きはしたがまだグイントータスは生きている。
「空圧地熱弾、くらえ!」
これまでの修行で威力が上がった空圧地熱弾がグイントータスに向かう。
しかし、これも効かず弾かれた。
さらにもう一発。
しかしまともに食らわせたがこれも効かない。
何てやつだ俺もう体力ないぞ。
その時ティルは飛び出し激しい跳躍でグレントータスの首に膝蹴りを食らわせた。
膝から光が出ている。
「これは前に見せたパンチの瞬間に光を叩き込む技の応用版よ! グレントータスは比較的首が弱いの」
ティルはもうボロボロだがさらに膝蹴りを撃ち込む。
「よし! 俺だってもう一発!」
ティルの攻撃で傷ついた首にエアショットを叩き込む。
そして俺は特攻した
「スカーズ! 何をする気⁉」
がしんとトータスを掴んだ俺は天に叫んだ。
「雷を俺とトータス目掛けて降らしてくれ‼ 命を大幅に削ってもいい。自己の体を犠牲にすれば上級神術は高確率で発動できる! 相討ちで死ぬ覚悟なら! 俺は空の神だから稲妻に強いんだ」
「死ぬ気ですか!」
グイントータスは抵抗し俺の肩を噛んだ。
まだ落ちない。なら。
血が噴き出したがこれで肉体も追い込める。
今度は足を噛まれ血が噴き出す。
まだ雷は落ちない。
今度は首を噛まれ血が出た。
「もう耐えるのが限界に近い!」
その時雷が俺とトータスの位置に落ちた。
「スカーズさーん!」
俺の体は完全に焼けていた。
ダウンしかけた時何故か俺はグイントータスをつかんだ。
俺は空の神だから雷に強いとは言えもう限界だ。
グイントータスも焼けてはいるが。
その内俺はもみ合いグイントータスをひっくり返した。
柔らかいお腹が上になる。
俺はエアカッターを発射せず手刀の様にしてグイントータスの腹を何発も切った。
腹から血が流れ出す。
俺は身体が焼け焦げ無意識で動いていた。
「うおお!」
俺は地熱パンチをあらん限り打ち込んだ。
やっとグイントータスは倒れた。
「や、やった」
そしてチャッカとミーモルに別れ告げる事になった。
「私が悪くて皆に迷惑をかけた」
「私達が上手く支えあえればこんな事に」
「一番悪いのは差別や迫害をする人たちだよ」
ロミイは続いた。
「だからせめてそれをしない人を大事にして」
ティルも言った。
「それは人間にとって永遠の課題よ」
ロミイは言った。
「でもそれだけ想いあえる友達がいるって羨ましくて素敵よ」
ミーモルは言った。
「スカーズさんも二人と仲良くね!」
「え?」
俺達は三人共赤面し恥ずかしくその場を去った。




