蛍の様な的
6月26日改稿しました。
俺はとにかく動く的を狙い撃ち続けた。
ティルは蛍の様な光の小さい球を超能力で動かし続け的にした。
ところがスピードが上がると当てにくくなってしまう。
これ以上に速く正確に撃てないとミッキードの牙城は崩せないだろう。
でも、かなり今の力じゃ厳しい。
ティルは言う。
「この的に当てるには百七十キロ位のスピード及び正確さが必要ね。あいつの動きを目に焼き付け保存したんだけど」
「何かビデオみたい」
「貴方が四倍の成長スピードがあるとしても明日までじゃ」
「でもミッキード達は特訓する時間をあえてくれたんだ。あの人意外に正々堂々としてるかも」
「そういう解釈もあるんだけど、やっぱり一日だけって『せいぜいやってみろ』みたいな馬鹿にした態度を感じるわはっきり言って。で必死にもがくスカーズを笑ってるような」
「俺は人の言う事良く解釈する癖があるけど世間すれしてないからかな」
俺は諦めず射撃特訓を続けた。
俺は言った。
「無理なようでも、やって見せる!」
「うーん、駄目だわ」
「え?」
「さっきからの進歩速度では計算上明日の対戦までに間に合わない」
「しかし」
「若輩者の私が言うけどコーチをやっていて『この人この能力は駄目だな』って言うの割と当たるのよね」
「それは勘?」
「勘じゃなく緻密な計算よ。このデータ天界に送って分析もしてもらってるのよ」
「しかし時間が」
「やっぱりミッキードは貴方がもがくのを想像して笑ってるのよ」
「でも俺戦わないと」
「それは正義感から?」
「そうだね。でも俺は世間すれしてないから他人との競争心が希薄だった。でもちょっと悔しくて彼らに勝ちたいと思った」
「そ、そう言う心境の変化があったのね。怨親等しく利すべしじゃないけど。確かに貴方は私と初めて戦った時も悔しがらなかったわよね。女相手なのに」
「それがちょっと変わった。まあ俺は食欲や女性に対する欲も人間と比べてあまりないんだけどね」
「え? ない?」
「……」
「何か寂しいな」
俺はティルの意味深な言い方を気にしながら言った。
「え? まあいいや、ぎりぎりまであがく! でも君はエネルギー大丈夫?」
「こんな時まで他人の心配しちゃうのね」
「休んだ方がいいよ」
「大丈夫よ」
「エアショットのスピードはどうも貴方の反射神経と動体視力に比例するみたいなの」
「じゃあそれを鍛えよう」
「でも時間ないから荒療治になるわ。私の攻撃を撃ち返したり避けて」
「やるよ!」
言葉通りティルは拳などの攻撃と魔法攻撃を混ぜ非常に速いスピードで攻撃した。
俺はすぐボロボロになってしまった。
「何かを掴んで見せる!」
珍しくティルが作ったガッツポーズに胸が少しどきりとした。
そして決戦の日は来た。




