表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/130

想いが届く時

 で、三人で交代の家事をやっている毎日で、ようやく少し俺は安らぎを得られた。

 だけど日が経つうち疑問も芽生えた。


「エクスド軍は俺達だけじゃなく多くの人に危害を加えていて、俺達だけここに避難してのんびりしている。後迫害されていると言っても人間皆がひどい人じゃないし。何より俺の両親は『理想郷へ逃げなさい』とは言ったけど本当はそれで収まらないと思う。耐えがたい無念。本当は俺に仇を討ってもらいたいんだと思う。でなければ浮かばれないと思う」


 と言う訳で俺は旅立つ事にした。



 ロミイの視点になります。 

「えっ? 何これ置手紙?」

 手紙にはこうある。


『ごめん。俺やっぱりエクスド軍を倒す旅に出る。色々考えたけど、敵討ちしなければ母さんたちは浮かばれない。それに俺達だけでなく苦しんでいる人は大勢いてその人達の為に俺の力を使わなきゃいけないんだ。何年かかるか分からないけど」

「そんな!」


 せっかく幸せを掴めたのに!

 しかも何で私は一緒じゃないの。


 何と一か月後スカーズさんは帰って来た。

 ぼろぼろの体で。


「俺今のままじゃエクスド軍に勝てない。だから特訓をティルやアローザーに頼む。でもロミイ、君は駄目だ連れてかない。体が普通の女性になったし。フォームチェンジしても凄い負担がかかる。だからここにいてくれ」

「そんな!」 


 *ここから回三人称になります。


 しかしショックを受けてもロミイはこらえ言った。

「スカーズさんの好きな卵焼きのワインソース、今用意しますから」


 しかしスカーズは少し素っ気なく言った。

「ごめん、今忙しいんだ。また今度」


 ロミイは激高した。

「勝手にすれば良いでしょ!」


 そう言ってスカーズを引っぱたいた。

「!」


「し、心配してる側の気持ちも知らないで……それが貴方の少ないウイークポイントね!」

 バタンとロミイはドアを閉めた。


 スカーズは何も言わず入っても来なかった。

 ロミイは床で泣きじゃくった。


「うう、ううっ!」

 ひとしきり泣いた後ロミイはマスターマッコルンの元に行った。


「え? 機械に戻してほしい?」

「それか、もっと戦闘力のある体にしてほしいんです」


「それは、無理だ。人を二回も生まれ変わらせるなんてあまりにも危険なんだ」

「しかし!」


 ロミイは諦めなかったがやがて帰った。

 夜、庭で一人呪文を唱え魔法の練習をした。


「くっ、呪文は覚えても前程魔法が出ない。私に剣でも使えたら」

 と言い木刀で木を思い切り殴ったが


「い、痛い! そ、そりゃそうよねそんなの通用する訳ないし。後は」

 ティルからもらった腕輪を見つめフォームチェンジを試みた。

 しかし


「きゃあっ!」

 ロミイの体に電撃が走り解除されてしまった。

「そんな、私に出来る事はもう何も?」



 ロミイはその夜はがっくりうなだれひとしきり泣いた。

 次の日不意に呼び鈴が鳴った。

「はい」


 ティルとアローザー、ウォレンがいた。

「え?」

「スカーズが言いたい事があるって」


「え?」

 スカーズは後ろから申し訳なさそうに出てきた。

「あの」


「はいなんですか」

 少しやつれたスカーズにロミイは突き放した態度を取った。  


「昨日はごめん」

「え?」


「冷たい態度取って」

「それだけ言いに来たんですか」


「おっと、それだけじゃない。ロミイ、ごめん。一緒に行こう。いや来て下さい!」

「……私はもう役には立てません。戦闘能力もなくなったし。家事が出来る位です。でもそんなんじゃ」


「俺とこれからずっと一緒に行こう。来てくれ。いや来てください」

「え?」


「それに今度は俺がロミイに卵焼きを作ります」

「!」


「だから毎日でも食べて下さい。下手だけど、全力で作るよ!  他にも色々!」

「……」


 ロミイの目から涙が流れた。

 そしてふっと安堵し微笑んだ。

 二人は抱き合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ