もう怒ってないよ
「まずい。これは例え罪があってもシャークアインを擁護する必要が出てきてしまった。でもどうやって? 『僕なら君の気持ち分かるよ』なんて言っても『お前に何が分かる』と言われても仕方ない。でももし普通のやっつけ方しても俺の心に一生罪と悔いが残ると思う」
俺はまずやっつけるふりしてかく乱しその間に何をすべきか考えようとした。
牽制でエアショットを撃ち、見せ技として処理し迫って来た所を逃げる。
これを繰り返そうと思った。
この方法が上手く行き時間を稼げた。
「あいつエネルギー切れとかないのかな。しかし時間切れで俺も素早い動きが出来なくなる」
「逃げ回って俺のパワー切れを誘うつもりか?」
厳密には違う。
しかし作戦がばれるので逃げながらエアショットも撃った。
その間俺は考えた。
お前にわかるか、と言われる前提でではどうすれば彼を止められるのか。
待てよ?
俺は立ち止まって言った。
「もうやめよう。あんたが人を殺すほど罪が重くなって取り返しがつかなくなる」
「何?」
「人間すべてを殺したり支配してもあんたは絶対幸せになれないよ」
「幸せになる、ではない恨みはらしにやるんだ」
「虚しいよ」
「ありきたりな事を言うな!」
「俺だってもっと救いのないやつならやっつけてるよ。でもあんたは止めが刺せない」
「じゃあ、分かるから分かり合おうなんて言うんじゃないだろうな。それとも人間全てを許せなんて言うんじゃないだろうな。貴様だって親の仇は許せないだろう」
「もう、あんまり怒ってない」
「何?」
「人を殺したらそれだけ罪を負う事になる」
「覚悟の上だ」
「悪の考えで行動すると幸せになれないしいつかきっと後悔する時が来る」
「後悔などない」
「後悔しない人、いや神だっていないよ。あんたは滅茶苦茶辛い目に合ったんだろうけどそれに耐えて今ここにいるのは並みの強さじゃないよ。それは復讐だけじゃなくて人間に対する愛が少しあったからじゃないのか」
「愛だと⁉」
シャークアインは俺を殴った。
俺は言った。
「殴りたきゃ俺を殴れよ。いや殺してもいい」
もう一発俺は殴られたがロミイが前に出てかばった。
「私を殴りなさい」
ロミイも殴られた。
「スカーズさんが死んだら目的達成が」
「良いんだ。俺は皆が継いでくれるから。シャークアインはそういう人がいなかったからあんなになったんだろ」
「うおおお」
シャークアインは頭を押さえた。
声が響き渡る。
「私はシャークアインを遣わした本物の神だ。何があっても耐えろと言ったのに人間を憎み罪を犯した。もうお前に天界に居場所はない。弟子なのに自分が全知全能だと思いあがったからだ!」