嘆き
俺はシャークアインを倒すと言うより止める為攻撃した。
親の仇とか言う気持ちはあまりなしに。
しかしみるみる俺のパンチ力は弱くなってくる。
まともに顔に当たったけどシャークアインはニヤリとした。
まずい。
案の定カウンターでパンチを食らった。
しかも防御も下がっていてより大きく吹き飛ばされた。
ざっ、ざっと地面に身体が叩きつけられた。
「ぐっ」
ダウンした俺にシャークアインはさっきとは違い神術を使わず迫ってくる。のしのしゆっくりと。
多分近距離戦で確実に仕留めようということなんじゃないか。
これを危険視したロミイはシャークアインの進行上に火の玉を撃った。
しかし片方は足元に、もう片方は避けられた。
シャークアインは立った俺を殴った。
吹き飛ばされる俺。
でも少し威力が落ちている。
もしかしてあいつもパワー制限が?
と言うか、さっき少し過去を話した時から精神的迷いみたいなものを感じる。
俺はダメもとで話しかけた。
「あんたはパワー制限があるんじゃ」
「そんな物はない」
「じゃあ、あんたの過去を聞かせてくれ」
「何⁉」
「さっきの続き」
「何で答える必要があるんだ」
「あんたを倒す必要がある悪人か判別するためだ」
「ふん」
いきなりシャークアインは兵を雷で撃った。
「あっ」
「これで俺は裏切者だ。初めから俺は救われるなんて思ってない。それだけの覚悟できてるんだ舐めるな」
「あんたはさっきすごく辛そうだった。人間を殺す事に迷いがあるんじゃ」
「俺がそんな甘い人間に見えるか。いや境遇が甘くないんだよ」
「ほんの僅かでも聞かせてくれ」
「俺はな、仕えている神に使者として送り込まれた。例えば病気の人を治したり災害を予知したり、最初は感謝され驚かれた。しかしそれをする内に人間どもは俺を悪魔だと言い始めた。そして殺そうと軍を差し向けて来た。俺は逃げた。しかし俺は人を救う使命があり天界に帰る事が出来ず逃げる事も出来なくなった。そして民衆には石を投げられさらに親切を装い騙され軍に通報され牢に入れられた。そしてしごきを受けた。残る方法は別人に化けるしかなかった。そしてシャークアインを名乗り軍に入った。迫害して来た軍、いや民衆を殺す為に」
「……」
「俺は言っておくがもう引き返さんぞ。引き返せんほど自身を追い込んだんだ」