怒りをたぎらせない
稲妻で俺を追い込もうとするシャークアイン。
俺は走り回って数本の稲妻をかわした。
俺と違ってリミットがないだけあって力が減ってない。
「はっはっは! どうだ」
シャークアインは嘲笑い楽しみながら稲妻を落としていた。
でもどこか焦りや違和感を感じる。
何て言うか、俺を脅かしたり追い詰めて楽しんだりしてるみたいでまた自分の力を誇示したりとか。
確実に俺を仕留めたいなら接近戦すればいいのに派手な技に走ってる。
「次はこれだ」
今度は火炎を放って来た。
俺はエアショットで迎え撃ったが少し押されている。
まずいと思い、離脱する事でかわせた。
「明らかにパワーが落ちているな!」
何か様子が違う。
凄く焦ってると言うか。
ティルは言った。
「シャークアインにさっきまでの冷静さがなくなっている」
ロミイも言った。
「まるで自分の弱い所を見せたくないから虚勢張ってるみたいに見える」
そういえばさっき取り乱して自分の過去を話してからなんかおかしい。
見せたくなかった部分をやむを得ず見せたからだろうか。
しかもこいつは厳密に言って仇じゃない。
エクスド軍が前にいるのに、ロベイアン達に切れた時みたいに激しい怒りがあまりなくなってる。
何故か分からないけど。
あの時はロベイアンや兵やワーグとか誰が悪いのかよく分からずがむしゃらだった。
ここまで来たのは怒りが原動だったんだけど。
今は違う気がする。
もうあんな切れたり人を恨む気持ちになるのは嫌だ。
そんなの絶対幸せじゃない。
そんなに人を憎んで憎しみをたぎらすのは正しい事じゃないんだ。
ロミイが昔言った言葉。
「自分の方が辛いのに相手に与える影響を考えるなんて優しいんですね」
その意味が何となく分かった気がする。
しかしこいつどうやって止めようかな。
説得もすごく難しそうだし。
エアショットはまた跳ね返された。
威力も落ちてる。