死闘続
俺はシャークアインを蹴り上げた。
「ぐわ!」
俺にこんなとんでもない力あったんだ。
まだ信じられない。
落ちて来る所を手刀で倒した。
「ぐっ!」
シャークアインが倒れると部下たちは怯え、皆は騒然とし固唾を飲む。
ロミイが手を組み祈りながら見つめる。
起き上がって突進してきたシャークアインをかわして回り込んだ俺は背中や首筋にパンチや手刀を入れた。
「がう!」
俺は熱くなっていなかった。
怒りでやってるんじゃなく最初に彼に言った「止める為」だった。
彼にも色々事情がありそうだけど断片的でよく分からない。
「何故同じ神で迫害されてもいる貴様が俺の邪魔をするんだ? 人間と仲良くしたいなんて言うんじゃないだろうな」
「俺は人間嫌いじゃないし仲良くしたいよ。でも前学校に行ってた時俺は『悟った欲望のない人』と言われてどこか異物扱いされてた。人間は変わったものと距離を置くのは分かってるよ」
「俺は『距離を置く』どころか殺されかけたんだ。人を幸せにするために遣わされたのに異物扱いされたんだ。しかもそれは口外してはいけなかったんだ」
「今、やっと話せる様になったんだ」
「貴様は理解者ぶる気か?」
「分からないよ」
「貴様に理解など出来る訳ないだろう例え家族を殺されたといっても」
「分からないかも」
「貴様だって先入観どころか差別意識だってあるんだろう」
ロミイは叫んだ。
「違うわ! スカーズさんは私が機械だと知った直後も少しも態度も表情も変えなかった。スカーズさんは差別なんかしない」
「お前だって本当は機械で嫌われてるんじゃないのか?」
「嫌われててもいいわ」
「?」
「本当は人間は見えない距離があって同族非同族の意識はどんな人も消えない。でも距離感があるから他人なのよ。でも相手の全てではなかったとしても理解しようとした時距離と気持ちが近づくんだと思う」
俺が上手く言えなかった事をロミイが言ってくれたみたい。
「分かった様な事を」
「うおおお!」
シャークアインが何発か殴りかかってきたが虚しくなって避けるだけにしといた。
「貴様の異常な力は何か秘密があるんだろう! 時間か? それともエネルギーの残量か」
と言うか俺も分かってないんだよね。
いつ切れるか分からない。
だから早く決着付けないと。
でもなんか虚しかった。
復讐に燃える気持ちとかあんまりなくなっていた。
それが旅してからの変化かも。
ワーグ派を怒りで倒すんじゃなく同族と何故か戦ってる。
「やばい」
俺の力がぐーんと抜けて来た。
「わかるぞ。貴様力が抜けて来てるな」
「くっ!」
俺は焦ってエアショットを撃った。
少し威力が落ちている。
「まずいお急がないと」
俺は稲妻の雨を降らせたのだがさっきも出したためかシャークアインにかわされた。
「くらえ!」
お返しとばかりにシャークアインは稲妻を連射した。
避けるだけで時間を食ってしまう。