理解者
「行くぞ」
わりと舐めた感じの口調でシャークアインは言った。
そして火を右手から出した。
俺は全く動かず、膜でまず受けてから拳で払って見せた。
「ほう!」
さらにシャークアインは左手から氷を出したがこれは俺が蹴りで払った。
皆騒然とした。
シャークアインは少し感心した。
「じゃあこれはどうだ?」
それはシャークアインの属性である光の魔法だった。
「まぶし!」
皆は目が眩んだ。
しかし
「でも、これ悪い感じじゃない。安らかな感じだ」
「おおっと、このやすらかな感じに騙されちゃいけない!」
と俺は光に飲まれそうになるのを危うく上空へと払った。
「ほう」
「……」
「よく見切ったな。むしろあの光は善人であるほど騙されやすいんだ。安らかな雰囲気から一気に毒へ引きずり込む」
「あんたが聖なる魔法を独自に改悪して身に着けたんだろ」
「まあそうだな」
「あんたの光の力は人間を幸せに導くための物だったんじゃないんですか」
「それが今じゃ騙す道具だ」
「罰当たりですね」
「神は俺だ」
「俺は自分の力をそんな風に使わない」
「貴様はぬくぬくと育ち、例え親を殺されても大してひどい目に合ったわけではないだろう。お前ごときが光を見抜けるとは思わなかったが」
「あんたの言うとおり俺は温室育ちだし、悪い人ばかりにあったばかりじゃない恵まれた人種ですよ。分からないかも知れないけどあんたこれから人間全部を敵にして支配していくんですか」
「救世主だったがな。もう嫌気がさした」
「でも。俺はあんたの事止めるよ。あんたは善人と悪人の区別もつかず一緒くたにしていい人まで殺そうとしてる。だからそれを防ぎたい。それにワーグが命ごいをした時、何故かほっとけなくなった」
「ワーグを⁉ あいつらはお前の仇みたいなもんだろ? 飛んだお人よしだな」
ウォレンは言った。
「俺はスカーズがいたから人を信じられているんだ。親兄弟に殺されかけた俺は狂いそうだったがスカーズのおかげで踏みとどまれたんだ。俺もあんたみたいになってたかも知れない」
「あんたに理解者がいれば」
「俺に情けでもかけるつもりか? ふん」
シャークアインは突進してきたが俺は垂直方向に蹴り飛ばした。
「ぐああ!」
そして念力で空中で掴んで動けなくした。
「ぐうう」
そして俺はシャークアインを地面に落とした。
「どう言う事だ? 神か悪魔でも降臨したのか」
「いえ別に」
「おおお!」
シャークアインは雷や重力も使ってきたが俺には効かなかった。