目覚め
俺は怒りと見下しが混ざった目でカーリアンを見ていた。
一方吹き飛ばされたカーリアン。
ダウンしながら殴られた頬の傷を確かめ信じがたい表情をしていた。
「な、何が起きたんだ? あのガキにこんな力があるはずがない。夢だ、これは夢だ」
カーリアンは弓兵に命じた。
「おい、あのガキを一斉に狙い撃て!」
「は、はい!」
弓兵達は少し怯えながら一斉に俺目掛け矢を放った。
しかし全ての矢は俺の皮膚に当たらず寸前で折れた。
俺は強風おこしを使った。
「わっ!」
これまで使った風おこしとは全然威力の違う強風が兵達を襲い吹き飛ばした。
「わわっ!」
カーリアンは腰を抜かしている。
「何が起きてるんだ⁉ 悪魔でも降臨したのか⁉」
「別に降臨してません。ただ、神術使用制限がない状態になったんです」
「何?」
「丁寧に説明するけど、要は二十分力を溜め続けてノンストップモードになったって事」
「何だと?」
「多分あんたよりずっと強いと思う。俺は今まで遠距離攻撃だけ強かったけど近距離格闘もね」
「ふ、ふざけるな」
カーリアンは殴りかかってきたが俺はさっと避けた。
「く、くっそ!」
二、三発目も俺はかわした。
「何だこいつまるで別人だ」
さらにもう一発殴ってきたが俺は受けて押し飛ばした。
「観念しろ」
「うおおお」
カーリアンは火を噴いたが俺の前でかき消された。
俺は指を指した。
するとカーリアンの横に雷が落ちた。
「え?」
さらに左、後ろ、前にも落ちた。
「今の俺は自分の意思で雷を呼べるぞ」
「ま、まさか」