再度特訓 広範囲への技を身に付ける
4月13日改稿しました。
俺はティルに言った。
「頼む、少年を探すのも急ぎの件だが、俺に短い時間稽古を付けてくれ」
「でも、あまり時間がないわ」
「頼む、考えてる技があるんだ」
その技とは、今は単発式のエアカッターを広範囲に連続発射する仕様の技だ。
現時点で俺は単発の技しか持っていないから、大勢敵が出ると対処できず不利なんだ。
軍は必ず大勢で出て来るしこれからも対処できる技が必要だ。
所持技
①エアカッター(単発式)
②エアショット
③地熱パンチ
④風おこし
⑤空圧地熱弾
これらに加える新技として「強化型連射式エアカッター」を習得するんだ。
「良し! 本当に悪いけどまず木に向けエアカッターを連射し放つから慣れてきたら相手になってくれ」
俺は精神を集中し、手の上にエアカッターを作り、さらにそれを連続で出そうとした。
しかし、一発目の続きの作成がすぐ出来ない。
「駄目だ、二発目を撃つまでためがいるから隙が出来てしまう。理想としてこれを連射してかつ広範囲に発射出来る様にしなきゃいけないんだ。でないと大勢の敵に対抗できない」
「うおお!」
今度はあまり力を溜めず、しゃにむに発射したがどうも綺麗にかつ正確に撃てない。
「もう一回だ! 必ずマスターしてやる。シャワーは大量に穴があるから細く出る。手をシャワーの口に見立ててエネルギーを拡散するんだ」
しかし上手く行かない。
「こたえるぜ。早くも体力が尽きてきた。でも今日一日で会得するんだ。そうしないとトーボ君が危ない。四倍のスピードで覚えるんだ。無茶でももう一回、何度でも!」
「分かったわ。付き合う。私は早く動き回るから当てて見て」
そしてもう一つ。空圧地熱弾を今度こそものにする。
気流と地熱を出し複合する実験を繰り返した。
俺は断腸の思いでトーボ君捜索を諦めその日は一日特訓をやった。
「エアスライドで素早く動きながら一発ずつ撃つのも手だね」
「でもそれだとスキル二つ同時使用ね」
「何でも試して見よう。後拡散エアカッターの難しいところは一の威力のカッターを五回とか発射するか、あるいは一の威力の技を五等分するか、エネルギー消耗と威力の関係だね」
「私は五等分で威力を落とした方がいいと思う。もう一つの方はエネルギーの消費が激しくて隙が出来るから。威力の小さい方は意外と効きそう。相手を倒せなくても足止め出来れば十分」
エアスライドをしながらエアショットを流れるように繰り出す攻撃も練習した。
これが短距離ダッシュよりきつい。
でもエアスライドをマスターしないと。
「反復横飛びと短距離ダッシュを地道にやってきた成果がすごい出てるよ」
一方、拡散エアカッターの習得が難しい。
でもクリアすれば自信になる。
そしてさらにもう一つ技を進めていた。
「手から竜巻を出すんだ。これは自分の力五十:奇跡力五十の技を出すんだ。俺の構想した手からの竜巻を残り時間で特訓しよう。竜巻投げ!」
俺は両手から半径五十センチ程、射程距離三メートル程の直線型竜巻を前方に投げた。
「すごい、竜巻が出てる。これなら多くの敵を巻き込んでふきとばせるかも」
「ところで、貴方の信条ってお母様の教えそのまま? それとも自分なりの考えを加えてる?」
「あ……言われてみると、その中間かも」
「その中間……お母様を尊敬するのはとても素晴らしい事よ。でもそれに自分の考えを加えるのが自立じゃないかしら」