逃げまくり作戦
ティルは小声で話しかけた。
「そのスキルの発動方法なんだけど」
シャークアインは余裕尺尺だ。
「作戦タイム位はやるぞ。それくらいの情けはかけてやる」
「まず、機械のスイッチみたいに神術パワーを十分なら十分、二十分にセットして溜めるの。すると残り体力とかは関係なく一定時間強力スキルが使える様になるわ。十分より二十分の方が溜まる力は大きい。ただその間に神術を使いすぎると使えなくなるわ。それと一旦セットすると、やっぱり二十分じゃなくて十分に直そうとかキャンセルが効かないの、だから最初に注意して。でも二十分は危険よ。二十分もあいつの攻撃をしのぐのは危険すぎる」
「でも、もし十分の力で勝てなかったらもう手がない。俺は二十分にしたい」
「大丈夫? 貴方が力を溜める二十分皆で助けるわ」
「でも、あいつの攻撃力半端ないよ。誰か犠牲者が出ると」
「でも手をこまねいて見てられないわ」
シャークアインは言った。
「サービスタイムはそろそろ終わりだ」
「分かった」
俺は意を決しパワー溜めを二十分にセットした。
「行くぞ!」
「いきなり終わらせるかじっくりいたぶるかどっちがいい?」
「いきなり終わらせるで良いよ」
「何か作戦があるのかな? まあいい行くぞ!」
シャークアインが手を振り上げると俺の周りに十本近く火柱が上がった。
「うわあ!」
「何だありゃ! 身動きも取れない!」
シャークアインはさらに撃って来た。
「何て量の火柱だ。でも俺は持ち前の逃げ足で逃げてやる」
俺はプライドを捨て後ろ側に逃げ火柱の直撃を食らわぬよう走り回りかく乱しようとした。
「次は稲妻だ!」
これも俺の近くに一本落としたかと思えばその近くと遠くに二発撃って来た。
「うわ!」
あいつ遊んでるのか様子を見ているのかなんか分からない。
「それにしても何て力だ。よく分からないが処女から生まれた神とは?」
ウォレンの問いにシャークアインは答えた。
「そうだ。俺の先祖は同じく処女から生まれた神だったが誰も人間扱いせず迫害し拷問した。俺の先祖達は皆人間を幸せにする為来たのに誰も受け入れなかった」
俺は答えた。
「人間は異なる者を受け入れるのに時間がかかる『俺は神です』と言ったとしても証明でもしないと信じてくれないよ。例えば海を割るとか」
「その神の力の証明はしてはならない事になっていたのだ。だから先祖達の苦しみや孤独はいかほどだったか貴様にも、ワーグの様なクソ人間には断じて分かるまい! ワーグとウィンセルムは特に目と内臓を引きずりだし全身の骨を折る」
「ひいい!」
俺は答えた。
「あんたや先祖は人間を幸せにするため来たんだろ?」
「もうそんな気持ちはない!」
「あの男過去の事言われると少し冷静さを無くすわね」
俺は走り回った。
足腰をすごく鍛えた事がここで役に立った。
「今度は重力弾だ!」
ウォレンのそれより大きな重力弾が俺を襲う。