スカーズの決意
ロミイは前に出た。
「今の時点でこの男の相手が出来るのは私くらい」
「ロミイ、無理しないでくれ」
シャークアインはニヤリとした。
「お前の力が通じるかな?」
「はっ!」
力を込めた杖からシャークアイン目掛け火の玉が射出された。
シャークアインは避けずまともに食った。
爆発の中から少し体が焦げたシャークアインが出てきたが顔は余裕がある。
「効いてるのか効いてないのかよく分からない」
「はっはっ!」
ロミイの二、三発目も全く避けずシャークアインは受けたが焦げただけで倒れない。
「どうした女神さん」
「あの男、打たれ強いだけでなく何考えてるのか分からない振る舞いが不気味よね」
ワーグはわめいた。
「お、おい君達シャークアインを倒してくれ! でないと我々は奴隷にされてしまう!」
「自分勝手な奴だな」
シャークアインはにらんだ。
「おい、言っておくが俺はスカーズ達以上に貴様らが気に入らないんだ。スカーズをあの世に送ったら貴様はそれ以上の地獄に送る」
「ひいいい」
返す刀でロミイに言った。
「ロミイとやら大分凄い力だな、だが俺もこんな事は出来る」
突如巨大火柱がランダムにあたりの地面から出た。
「何あれ⁉ 俺が限定使用で出すのよりすごいぞ」
「あれじゃ、スカーズの上級限定使用スキルでも勝てないかも?」
「それがたよりなのに!」
シャークアインは迫った。
「どうした? 降参せんか?」
「………」
シャークアインは続ける。
「元々お前は接近戦は特に大して強くないだろう? 限定使用スキルの力でまぐれで勝って来ただけだろう。大してお前は成長していないんだ」
俺は答えた。
「……俺は確かに大して強くなってないよ。でも逃げない」
「何?」
俺は続けた。
「確かに、俺達だけが助かる為なら逃げる方法もあったかも知れない。でも俺は旅に出て知ったんだ。俺達が助けなきゃいけない人達が確かにいる。昔は同族の事しか考えてなかったけど。俺は学校もあまり行ってない人間で親としか接してなかったし」
「何? まさか俺に正面から挑む気か?」
「あんたに何があったのか知らないけどこれ以上ほっといたら確実に不幸な人が増える。だから俺はあんたを止める」
ティルは言った。
「勝つ方法はあるの?」
「……」
ロミイは駆け寄った。
「はい、勇気のお守り」
ティルは言った。
「ロミイはこんな勝ち目のない戦いでも彼を信じられるのね。私は完全に信じられなかった。おっと」
ティルの通信機が鳴った。
「ふむふむ」
「何?」
「通信によるとスカーズが限定使用スキルを使う条件には法則がある事が分かったわ。①感情の大きな変動②肉体が限界に来た時③祈るか溜める④予約」
「④予約?」
「今までは①か②か③だった。でもあいつは攻撃が高すぎて②は危険よ。④はあらかじめスキル覚醒の時間をタイマーみたいにセットするとそこから一定時間使い放題になるらしいわ」
「じゃあ、それに賭けるしか」