ロミイの覚醒とシャークアインの本性
12月29日改稿しました。
羽衣と羽根、杖を携えたロミイは驚く事に宙に少し浮いた状態からゆっくりと着地した。
「降臨した女神みたいだ」
味方だけでなく敵もそう思ったと思う。
それくらいの神々しさが彼女にはあった。
ワーグ達も何か恐れ多い感じで何と言って良いか分からない感じだった。
がすぐ気を取り直して叫んだ。
「な、何かよく分からんが、娘がそんなに変わるわけはない! 一気にやってしまえ!」
「はい!」
兵士達はロミイ目掛け突撃して来た。
それをロミイはきりっと、かつ悟った様などこか憐みも持った目で迎え撃とうとする。
「うおおお!」
声を上げながら迫る兵達に対しロミイは杖を向けた。
彼女は何事かつぶやいた。
すると杖から直径八十センチはある火の玉が生成され発射された。
「あっ!」
火の玉は兵達に当たり燃やした。
一瞬で焼けこげと化した。
「何度あるんだあの玉!」
ロミイはさらに二発目を撃った。
構わず突進してくる兵達の足元に撃つと爆発が起きた。
「うう」
兵達の顔が青ざめた。
ティルは言う。
「私は動きやすく変わる程度だけど、ロミイはまるで覚醒して生まれ変わったみたいになってる。どう言う作用?」
ロミイは今度は遠くの兵達に向け火の玉を放つと着弾と同時に爆発して大騒ぎになった。
「すごい、エアショットなんか比較にならないくらい」
ウォレンは言った。
「ああ、だがそれ以上に彼女のたたずまいと存在感が凄い。それも兵を畏怖させてるんだ」
「この威力なら全員やっつけられるかも」
ロミイの火の玉はさらに続いた。
騒ぐ兵士達。
「私が食い止めるから皆は入口まで逃げて!」
彼女、怒りそして悲しんでるみたいだ。
本物の女神みたいに。
ところがシャークアインは血を流しながら突如立ち上がった。
「俺が死ぬと思ったか。俺は神だぞ」
「神? あんた人間だって言ったじゃないか」
「それに何故神族なら同族を攻撃するんだ?」
「俺は神として全てを支配する為に生まれて来た。だから『支配吸収』のスキルがあるのよ。それに俺は処女から生まれたんだ」
「え⁉」
「処女が身ごもり生まれた神が俺なのよ」
「イエスキリストみたいに? 全然違うけど」
ワーグは喜んだ。
「おお、シャークアイン! まだやれるか! あいつらを倒してくれ」
「誰に命令してるんだ」
「は?」
「俺はこの国の王になる男だぞ」
「何を言ってるんだ頭でも打ったか? いくら強いと言ってもお前は兵、王じゃない」
「俺は確かに戦うしか能のない男よ。だが頭のいい奴の知能を吸収すれば」
「わあっ!」
シャークアインはワーグの頭に手を置いて力を吸収した。
「もっとだ」
「何⁉」
シャークアインは今度はティルに近づき頭を掴んだ。
「きゃあ!」
「娘、お前は知能指数が一九五あるそうだな。それだけの知能さえ加われば俺は肉体も知能も全てが完全なエクスド王国、いや全世界の王になるのよ! 俺は神だと言う事を隠していたのは勿論ワーグ達に殺されるからさ」
俺は言った。
「あんたは神なんだろ? ならば何故神を迫害する連中に力を貸してたんだ?」
「処女から生まれた神は歴史の上で全て人間に殺された。その怨念が俺の母の体に宿り生まれたのよ。俺の先祖の神は人間を幸せに導こうとしたのにあまりにも人間離れした事ばかり言った為誤解されて殺されたのよ」
「人間を支配するって欲望だろ? 神が欲望って」
「俺は人間でない事を途中から知った。隠して最後にこの力でエクスド軍を掌握し奴隷にする復讐計画だったんだ。俺は支配欲でやってるんじゃない、神を神と思わないエクスド軍とエクスド人に未来永劫の地獄をあじあわせる」
「エクスド人はみな神を憎んでいるんじゃない!」
「じゃあ、俺が神であると打ち明けたら殺されていただろうそこはどうなるんだ」