プロローグ
7月6日改稿しました
復讐の炎は燃える。
俺は長さ約二メートルの小型の雲に乗り、地上から十五メートル程上空に浮いている。
俺の頭上には天使の輪が浮き、背中には鳥の様な羽根が付いている。
俗に言う仙人の様な衣を着ている。
そしてそこから地上を見下ろし、隊列をなす敵兵士達と戦っていた。
兵士達の兜と鎧には憎むべきエクスド軍の紋章が刻まれている。
俺の両耳の後ろと右手の甲に七センチ程の神の羽根が飛び出た。
額には空と大地の印の絵が結合した形の紋章が浮かび上がっている。
二つの紋章は結合し別の紋章になった。
俺が杖を振るうとすさまじい嵐が起き大軍の兵達を襲う。
さらにもう一回振るうと今度は地面が大きく割れ、中から四メートルはある巨大な火柱が何本も地上に突き出され兵達を襲った。
兵達は嵐と火柱によって勢い良く上空に突き上げられた。
さらに、空中に長さ二メートルの巨大な風の刃が発生し、飛ばされた兵達を追撃の様に空中で襲い切る。
「あああ!」
ぐさりと体の肉を大きく切られ苦しむ兵達。
そして後方の数百人の兵達も恐怖におののいた。
後ずさりする者、震えて動けない者。
俺は叫んだ。
「理想郷の入り口は破壊させない!」
空が暗雲に包まれる。
俺は詠唱した。
すると地を貫き引き裂かんばかりの勢いを持った強大な稲妻が天から落ちた。
巨木の様に太い稲妻は一瞬で直撃した兵の命、いや肉体をも焼き消し奪った。
「ひいい!」
兵士達のおののきと恐怖は頂点に達した。
さらに俺は一本だけではなくさらに稲妻を呼ぶ。
すると暗雲に穴がいくつも空き、一発目に続くように赤色、青色と色の違う稲妻を次々呼び出された。
滝の様に降り落ちる七色の稲妻は地上の周辺あらゆる場所に逃げ道を絶つ如く次々に地上のエクスド兵を猛獣の様に襲う。およそ三十発。
「あああ!」
叫びわめく彼らはおよそ数分で全員残らずその身に稲妻を受けた。
焼け焦げて灰になった兵も多数。
地面は焦げ、穴だらけだ。
煙が穴から出ている。
兵の死体は風の刃で切られた者は転がり、稲妻で完全に焼けた者は形が無かった。
「これが俺の、混血神の力……そして『超大技発動スキル』……限られた状況・条件多でだけ超魔力が使える」
と実感し手を眺めた所で夢から醒めた。
このスキルがあれば仇を討てるのに、と思った。
実は俺は両親をこいつらエクスド軍に殺されたんだ。
今は隠れ家に避難している。
何があったか話は一ヶ月前の実家に戻る。