あの夢の続き
私は気がつくといつも何か分からないものに追いかけられている。そこに居るのは、顔の見えない者で影ではなく姿がある。黄色いパーカーを着て黒のズボン、そして細身の姿が全力でこちらを追いかけてくる。その姿は私の恐怖を煽るには充分だった。
「………………」
無言で追ってくるそいつに対して、私は何も言えなかった。ただ焦ってスーツ姿なのも気にせず走りその末にヒールが折れて転ぶ。その者が追いつく寸前に目が覚める。
「……っ!」
そう、これは私の夢の内容である。
*
この夢は、私が疲れた時とか精神的に滅入っている時とかによく見る悪夢である。これを見た後は、絶対にどこかに異変が現れる。
「今日は、腕…か」
そう言う私の腕には手の跡があった。跡の付く場所に法則性はない。ただ、きっと夢の中であの人…?が触った所だろう。今日は腕を囲むようにあるからきっと掴まれたのだろう。
「はぁ…会社…行かなきゃ…」
痛い体を起こして、スーツに体を包む。昨日は遅くまで起きていたためだろうか、目元のクマがすごいし、寝た気がしない。体はあの夢のせいか汗でベタベタしていて、とても気持ち悪かった。
会社に行くだけでも憂鬱なのに、その上汗でベタベタしていてはやっていられない。私は一度着たスーツを脱いでシャワーで汗を流してやっと家を出た。
*
今日も変わらない街並みに目線も上げずに歩いていると、よほどボーッとしていたのだろうか、人にぶつかった拍子に転んでしまった。
「すみま……っ?!」
「こちらこそ…お怪我はありませんか…?」
私には何も返せなかった。そこにいたのは黄色いパーカーに黒いズボン姿で、背格好があいつに似ている男性なのだ。実際に夢の中で顔を見たことはない。けれども、この人だと言う勘が鋭く主張してきていた。
「あの…大丈夫ですか…?」
そう言ってもう一度こちらを覗いてくる男。その姿に震えながら私は「大丈夫なんですが…立ち上がれなくて…」とだけ答えた。
彼は何気ない動作で、私の腕を掴んでくる。掴んでいる位置は跡のある部分とぴったり重なっていた。
その何もかもが気持ち悪くて、私はその場で蹲ってしまった。
「あのー…」
「…!あ、もう大丈夫なので…!」
「そうですか…」
彼の顔を見る気にもなれず、私は下を向いたままカバンを掴んで走り去った。
──────────一方その頃、残された男は彼女の落とした社員証を拾って彼女の後を追っていた。
「なんであそこまで怖がられたんだろう…僕が何をするわけもないのにね…」
そう言って、彼は彼女の後を見失わない程度に追いかけていた。
*
さっきから誰かにつけられている気がする。さっき、あの男にぶつかった時から。けれども、この街中でそんなことを思うのは気が引けて、私は何も知らないふりをしてオフィスビルの中に吸い込まれるように入っていった。
私の居る会社では、社員証が無いとオフィス内に入ることができないのだが、そんなところで事件が起きた。
「あれ…社員証…無い…」
そう、社員証が無いのだ。思い当たる節なんて、あの男とぶつかった時しかない。私はもし拾われてたらと思うと嫌悪感がして、全力で探したが見つかる気配は無かった。
〈ピンポンパンポーン〉
『社員のお呼び出しをいたします。佐々木未央様。お連れ様がいらしていますので一回の受付までお越しください。』
そんな放送が私の耳に入ってきていて、呼ばれていたのは私の名前だった。お連れ様が居ると言われても私は独身のためそんな風にくる連れなどいるわけがない。それでも、無碍にするのは違う気がして私は一応受付に向かった。
*
受付に向かうとそこにいたのは先程ぶつかったあの男だった。まさかストーカーなのかと思ったが、そんなわけもない。だって、彼は私の社員証を持ってきてくれたのだから。
(朝、夢の中の人に似すぎてて怖くて逃げちゃったけど、本当は良い人なのかな…)
「あ、いきなりすみません…」
「いえいえ、全然…!それでご用件とは…?」
「あ、はい。えっと、これを返しに…」
そう言って彼が取り出したのは予測した通り私の社員証だった。
「ありがとうございます…!さっきまで無くて本当に困ってて…」
「そうなんですね…!尚更見つかってよかったです…!」
「はい…!ありがとうございます……!」
私は、このまま別れるのもなんというかって感じになったので彼に連絡先を聞くことにした。
「あの、連絡先を教えていただくことって可能ですか…?」
「あ、全然大丈夫ですよー!」
そう言って、連絡先を交換する。そして、そのまま彼とは別れた。
*
そんなこんなで、今日も自分が生きてるのか死んでるのかも分からなくなるオフィスに入る。
ここは所謂ブラック企業の一歩手前というやつだ。
残業は時々あって、残業代は出ない。その上、社内環境も劣悪であった。あんな夢を見ても仕方がないような気がする。
「はぁ…。おはよう…ございます…」
「あぁ佐々木。この資料今週中にまとめといてくれ〜」
「ほら、佐々木さん来たわよ…今日も根暗そうね…」
「ほら、こっちを見た…見ないで欲しいわ…」
会社に入った瞬間にお局には噂をされ、上司は山積みの資料を机の上に笑顔で乗せて帰って自分はスマホを見る。
こんな会社に居るということ自体が嫌だった。
ストレスのせいか何もする気が起きず、家に帰ると倒れ込むばかり、注意力が散漫になって最近はよく転ぶ。
「……っ!」
そんな私に嫌気が差して、衝動で私は入ってきたままの格好で扉を開いて家へと無我夢中で走った。
会社を無断で早退したのなんて初めてだった。早退したくなかったわけじゃない。ずっと勇気が出なかったのだ。
今だって、完全にその場の勢いと自分に流された。
「はぁ…はぁ…どうすれば…良いのかな…」
家に着いてリビングの床に座り込んで私はそう呟いた。
自分に流されたのなら自身の意志ではないのかなんて愚問である。私は自分に流されたけれど周りに巻き込まれたのだから。
それから、脳内に回ったのは今日の朝出会った彼の顔だった。名前なんて知らない。今日あったばかりの彼。それでも、彼だけは私のことを助けてくれる気がした。
そう思って、彼の連絡先にさっきと同じように衝動で『助けて』と送る。見られなくても良い、気づかれなくても良い。それでも、今は彼に頼りたかった。
5分弱が経った時、やっと既読が付いてすぐに返信が返ってきた。
『今どこ、今すぐ向かうから教えて』
『自宅…だから…夕ヶ崎公園で待ってる…』
『分かった。すぐ行く』
その返信を見届けて、私はそのままの格好で少し離れた夕ヶ崎公園に向かう。スーツのまま公園の方向に向かっていくからか、まだ午前中だったからか、周りからの視線は痛かった。
そんな視線と戦いながら5分ほど経って夕ヶ崎公園に着く。彼はまだ来ていなくて、私はその辺にあったベンチに座る。
それから2分ほど経って彼は公園に到着した。
「ごめん、遅れた。で…どうしたの…?」
「あの…ね…。何もかもが嫌になっちゃって…私弱いからさ…」
「そっか…でも…あの会社ブラックだし…労働環境も最悪なんでしょ?」
「なんで…知って…」
「だって…有名だよ。あそこ、すごい危険だって…知らなかったの?」
「う、うん」
「そっか…」
最近の私はスマホを見ることすらなかった。今日彼と連絡先を交換する時に苦労するくらいには。
久しぶりに触ったスマホは何故か充電だけはしていたらしく、100%と表示されていた。
「で、未央さんはどうしたい…?」
「え…」
「あ、えっと…なんと言ったら良いか分かんないから…」
いきなりの呼び捨てに驚いて声が出ると彼は控えめに戻る。そんな彼に、私は何故だか口がすらすらと動いた。
「えっと…仕事…は本当はやりたく無いんです…。いや、やりたくないと言うよりかは、あの場所には居たくないんです…」
「そっか…」
「馬鹿馬鹿しいですよね…。こんなこと言ったって救われるわけじゃないのに…」
「馬鹿馬鹿しくないよ。それは君の心の声だ。僕は受け入れるよ」
彼はそう言う。今日出会ったばかりなのに、彼は私に優しくする。その意味がよくわからなかった。
でも、私はその言葉が悪魔の囁きに聞こえた。いや、救いの声かもしれない。どちらにせよ、その言葉に心が動いてしまった。
「本当に…?」
「うん、本当に。辛いなら僕が養うよ」
「それは…申し訳ないよ…」
彼は本当に養ってしまいそうだ。すぐに行くと言って本当にすぐに来てくれるあたり彼はきっと優しい。
彼が居てくれただけで、わたしはだいぶ気が楽になった。
「本当にもう大丈夫…?」
「うん、大丈夫だよ…すぐに来てくれてありがとう…」
「それは別にいいんだけど…その…」
そう言って口籠る彼に私はこう告げた。
「本当に辛くなったらまた声かけるね」
その言葉で彼の顔は晴れた。本当に表情がコロコロ変わる面白い子だなぁなんて思いながら、私は彼と別れた。
*
翌日。今日こそは…とオフィスに向かい、自分の机の上を見てみると、昨日できなかった仕事の山に加えて今日分の山、そして上司が立っていた。
「おい佐々木、無断で早退とはいい度胸だな」
「…すみません…」
「ボソボソ言ってんじゃねぇよ…!しっかり喋れ。そんなんだから仕事も遅いんだよ…!」
「…っ…!」
核心を疲れて、何も言えなくなった。ボソボソとも言えない。逃げたいけど、足が動かない。本当に何もわからなかった。
周りの仕事もしないお局たちがこちらを見てくすくすと私を嘲笑う。
それでも、上司は私に対して罵詈雑言を浴びせる。
今すぐこんな場所から消えたかった。それでも消えられなかった。これ以上仕事を早退すると給料が全て引かれるから。こんな劣悪な環境を直せるだけの声を上げる力もない。
それが私で、それがこの会社というものだったんだと思う。それもあって私はもう諦めていた。
*
やっと仕事が終わった頃にはもう深夜0時で終電なんてない時間だった。ただ一つの救いは歩いて行ける圏内だったことだった。
そう思って終わった資料を全て置いて、帰路に着く。
そこで違和感を覚えた。
「……」
「……」
何者かが後ろにいる気がした。いや、気がしたではない。何者かが後ろにいるのだ。走っても、歩いてもそれが離れることはなかった。
「…………っ………!」
思いっきり走り、横道に入る。何者かがついて来ていた気がしたが特に何も通り過ぎることも付いてくることもなかった。それでも、夜道が怖くなった私は彼に連絡をした。
『何かに追われてる…怖い…視線を感じる…』
そう彼に送る。すると、深夜一時のはずなのに彼はすぐに既読をつけて返事をくれた。
『今どこ…?電話できる?』
『今…月川公園の近くの路地…。電話できる…』
そう返信するとすぐに電話がかかってくる。彼はすでに走っていて、少し息も切れていた。
『もしもし…?』
『あ、も…しもし…?とりあえず、月川公園じゃなくてもいいから、大通り出て。路地は危ない』
『う、うん』
そう言って大通りの方に出る。
『今、会社前の通りまで戻ったよ…?』
『うん、えらいね。そしたら、そのままとりあえずそこで待ってて』
『う、うん』
彼はそれから語りかけることこそ無かったが、電話は繋ぎっぱなしにしてくれて、私が語りかければしっかり答えてくれた。
「未央さん!」
「…!」
名前を呼ばれてそっちを見ると、肩で呼吸をしながらこちらへ走ってくる彼の姿があった。
「大丈夫だった…?」
「う、うん」
「そっかそっか…それならよかった…」
そう言って安堵の表情を浮かべてこちらを見つめる彼に、私も安堵してしまって彼を抱きしめた。
「こわ…かった…」
「うん…ごめんね…来るのが遅くなって……」
彼はそう言って謝ってくれたけれど、私はそれを否定する。
「いいの…私がこんな時間まで…仕事が終わらなかったから…」
「いや…この時間まで残らないと終わらない仕事量を出す会社が問題だね…」
そんな私に対して彼が否定をするものだから、私としては本当に驚きだった。
それでも私は否定をやめない。
「だ、だって…ね…。資料だって今日は山二つ分で…少ない方だったんだよ…?」
「その山って何センチくらい…?」
「一つ…45センチくらい…」
「やっぱりおかしいよ…」
「そう…なの…?」
「普通はもっと細分化を図るよ」
「そう…なんだ…」
そこまで聞いてやっと分かった。私の労働環境は、周りと比べたらひどく違うことを。いや、本当は気づいていてそれでも逃げていたのかもしれない。認めたくなかったから。
そう思って、動揺する私に彼は再度あの問いを投げかけた。
「ねぇ、未央さん。こんな時に言うのはずるいと思ってるけど…やっぱり、僕のところにおいでよ」
本当に魅力的な誘いだったし、乗りたかった。それでも、私はそれに乗るつもりは無かった。
「ごめん…どうしてもそれはできない…」
きっと、私はまだ彼を信じきれていないのだと思う。
だって、出会った時の格好があまりにも夢の中のあいつに似ていたから。だから…と言いたいところだが。多分、信じるのが怖いのが一番だと思っている。
私は昔、仲の良かった子に裏切られたことがある。
小学生の時から仲が良かった彼女に、高校の時裏切られた。今までうざかったなんて言われて、何も信じられなくなって。そんな状態で数年間ずっといじめられてきたのだ。
「そっか…未央は本当にそれで良いの…?」
「うん…良い。私は私なりに耐えてみたい」
「そっか…」
「ごめんね…」
「謝らないで…。それじゃあ、とりあえずお家までは送り届けるよ。って言っても道分からないから一緒に居るしかできないけど…」
そう言って彼は私の隣を歩いてくれる。
その優しさに少しの申し訳なさと嬉しさがあった。歩幅まで合わせてくれて、本当に彼は優しいと思った。
そして、こんなに優しい彼に彼女が居ないわけがない、とも思った。だって、あまりにも優しい彼だ。モテないわけがない。
それもきっと、彼の言葉に素直に甘えられない理由だ。
そう考えていると彼に声をかけられた。
「未央さん、着いたんじゃないかな」
「…!」
ボーッとしていても家への道は覚えていたらしく、気がつけば家に着いていた。
「あの…えーっと…」
「そういえば、名乗ってなかったね」
「うん…名前は…?」
「僕の名前は…蔵本霞」
「蔵本くん…?」
「うん」
彼はそう言って頷いた。
その仕草すらも絵になるのは彼がイケメンなのだからだろう。
「そしたら…蔵本くん」
「霞がいい」
「う、うん。霞…ありがとう…」
「うん。困ったらいつでも連絡ちょうだい」
「うん。ありがとう」
私がそう言うと、彼は私に背を向けて来た道を戻っていった。
*
彼の背中が見えなくなって、ドアを開けて家に入ると安心でなのか力が全て抜けた。
「…霞…くん…か…。」
そんな呟きすらも空気の中に消えていったのは言うまでも無い。
*
今日は、珍しく会社が休みだったため家に居る。
一応どれだけ忙しかろうと完全週休2日制の会社だったのが唯一の救いだったと思う。
まぁ、それでもまた仕事の日は来るのだが…。
そんなこんなでグダグダと過ごしていると、いきなり通知が鳴る。
まさかと思って覗いてみると、仕事の通知では無く霞くんからであった。
『今日暇…?』
文章からあどけなさが感じられる。
実際、彼は私より少し年下そうだった。年齢は聞かない。そんなの知っても意味はないから。
『暇だよ〜』
そんなふうに返すとすぐに既読が付く。
そこからすぐに返信が来ないあたり、少し焦っているのだろうか。それだけを思うと、とても可愛く思えてニヤついてしまった。
『良ければだけど…電話したい…』
その返信に次に驚いたのは私だった。そして、答えに困ったのも私だった。
その間に彼も少し焦ったのだろうか『もし無理なら大丈夫』というメッセージが送られて来ていた。
彼の気持ちを無碍にするわけにもいかずに、私は『いいよ、かけておいで』とだけ答える。
すると、すぐにかかって来た。
『もしもし?』
『あ、もしもし』
彼が最初に喋り、私はゆっくりと返す。何かガタガタとしているあたり、少し暴れているのだろうか。私にはもう予測もつかない。
『いきなりでごめんね』
『別に気にして無いよ…まぁ、たしかに急だったしちょっと驚いたけどね…』
『そっか…なら良かった…。ってそうなの…?』
『うん…ちょっとだけだけどね』
画面の向こうで、彼が声にならない悲鳴をあげる音がする。どちらかと言うと足をバタバタする音が聞こえただけだが、多分そうなんだろう。
『で、なんでいきなり電話…?』
『あ、いや、今日…不思議な夢を見て…』
『へぇ…どんな夢…?』
彼と出会ったのが間違いだったのか、聞いたのか間違いだったのか、このあと私は聞きたく無かった回答を聞いた。
『なんていうか…今日だけってわけではないんだけど…』
『うん』
『自分が黄色いパーカー姿に黒ズボン。ほら、未央さんに出会った時と同じ格好。それで、未央さんみたいな格好をした女性を追いかけてるの』
『………え…』
彼の語る情景は私の見ている夢の彼目線だった。
ひどく驚いて動揺している。
それでも彼は話し続けた。
『その女性はね、顔は見えないんだけどすごく怯えてるみたいにいつも走ってて。それで、いつもヒールが折れて転ぶんだ』
その状況すらも、私の夢の終わりと同じような感じだった。次の発言を聞くまでは。
『でね…いつも場所が悪いのか、階段から落ちたり、海に溺れたりするんだ』
『へ、へぇ…』
『それで、毎回そこで目が覚めて…。いつも手には何かを触った感触があるんだ…』
『そっか…』
当たり障りのない返答をしながら彼の話を聞いていると、彼から予想外の返答が返って来た。
『ねぇ、未央』
『な、なに……?』
『今日とは言わずとも…未央もそんな夢見たことがあるんじゃないの…?』
『な、無いよ…』
『嘘だ。その感じ絶対ある』
まぁ、最初から動揺していたからバレるのはわかっていた。
『うん。まぁ、そう言う夢は見たことあるよ…?何回か…ね』
『そっか』
『霞が見ている夢の追いかけられてる側に私はいつもいる。』
『……』
彼が無言のままのため、私は話し続ける。
『で、あの時霞に出会った日。あの日もその夢を見て、その時は霞と全く同じ服を着た男に追いかけられて、霞に掴まれた腕と同じところに跡があった。』
『その日…僕も同じ夢を見た。あの時も追いかける側で…』
『そっか…。ちなみに、今日の夢は白のシャツに青いジーンズ履いてたんだけど…今はそれ着てる…?』
『うん…着てる』
『そっか』
何かが繋がったような離れたような感覚である。
霞と繋がっているようで違う夢を見ていたからだろうか。私としても、こんな経験は初めてで消化不良を引き起こしていた。
何もかもが相まって、少しの間沈黙が走る。
そんな中ある疑問が浮かび上がって、彼に語りかける。
『そういえば、私を助けようとしたって言ってたけど…それ本当…?私いつも転んだところで起きちゃうから分からなくて』
『うん…本当だよ。毎回助けてる。その日は階段から落ちそうだったから咄嗟に腕を掴んでそこで起きた』
『そっか。夢の中でも霞は優しいんだね』
『いや…目の前で人に死なれたりするのが嫌なだけだよ…』
彼の声が少し暗くなる。事情を聞いていいのか悪いのか分からず、結局聞かないままにしようと思ったら彼は自分から話してくれた。
『きっと、未央は聞かないから自分から話すね』
『え…うん…』
彼は、私の何もかもを見透かしている。でも、その方が楽だったりするため、特に不都合は感じなかった。
『えーっと…話すと長くなるんだけど…』
『うん』
『僕と友達になった子たち…その子たちがさ…みんななんでだろう。僕の目の前で死んで行ったんだ。揃いも揃って目の前で…』
『そっか…』
『それが嫌でさ。誰とも会いたくなくて、一時期家に引きこもってた時期があって…。その時期あたりだったかな。夢を見たんだ。海を眺めてる夢』
『……』
『その海の近くに崖があって。そっちを向いたんだ。そしたら、そこに…飛び込もうとする影があって』
『……』
『それを追いかけたんだ。止めたかったからさ…』
『うん…』
『そしたら…彼女は怯えた顔をして…逃げてってさ…』
『…』
『それから、あんな夢が増えたんだ…』
なんというか、とてもショッキングな話だった。彼の今までの境遇と見た夢の内容の影響かもしれない。それが無くとも、私より年下っぽいのに苦労している彼に対して少しの同情を覚えた。
そして、聞いてるうちに不思議に思ったことを聞いた。
『ちなみに…その夢を見たのがいつ頃かって…覚えてる……?』
『確か…3ヶ月前…かな』
その回答は、やはり私の思った通りだった。
なぜなのかと問われれば、そのまま私が最初にその夢を見た時期と重なるか知りたかっただけだ。
まぁ、全く同じ時期に見ていたみたいだから、多分本当に同じ空間に居るんだと思う。
『そっか…』
『ごめん…こんな弱いところ出して…』
『いいんだよ…謝らないで』
彼はそれでも申し訳なさそうにする。だから、次謝ったら罰金ねと言うとやっと謝るのをやめた。
『てか、なんでいきなりそんな話を…?電話したのもその話のため…?』
そう聞いてみる。彼は少し慌てた様子で質問に答えた。
『えっと…この話をしたのは初めて出会った時に夢の中で見た彼女に未央が似てて、話しかけたら怯えられたことについて少し確信を持ちたかったから』
『まぁ…確かにあの日見た夢の中で出てきた男性とあまりに姿が似てて怯えていたのは事実だね』
彼はやはり、何もかもがお見通しのようだった。もしかしたら心理学が得意なのかもしれない。
『でも、今日電話したのは普通に話がしたかったから』
『……へぇ……』
そうは言ったものの少しどころか普通に驚いて硬直していたのは言うまでもない。
『人のことを詮索するのは良くないんだろうけど…聞くね…不快だったら流して良いよ』
『う、うん…』
『霞って、今何歳…?』
『今…一応21…』
『3歳下か…そりゃ大変だよね…』
『え…』
彼は少し驚いたような反応を見せる。
『どうしたの?』
『そんなに…歳差あったのか…』
そう言って少し肩を落としたような声を出して、それから『絶対彼氏いるじゃん…』と呟いた。
『…?彼氏ならいないよ…?』
『…?!聞こえてた…?』
『うん…。てか、霞こそ彼女居るんじゃないの…?』
『居ないよ…』
彼の声の高低差が凄く私は少し驚く。
喜んだかと思えば落胆して、そんな忙しそうに感情を動かす彼は一時期でも引きこもっていたようには見えなかった。
『ていうか、今までの霞の周りの環境はやっぱりおかしかったのかな…』
『そうかもしれないね…もうわかんないや…』
そう言う霞の声は弱々しくて。普段の頼り甲斐のある彼とは天と地ほどの差があった。
そこからは、少し雑談をするだけして、2時間後にどちらからとも無く切った。
*
あれから数ヶ月の間に良くも悪くも色々なことがあった。
まず会社の不祥事が全てばれて倒産に追い込まれたこと、そのせいで仕事が無くなったため、とりあえず中途採用で他社に就職はした。労働環境が整っているため、あまりストレスを感じることがなくなった。
そして、霞が私の前から姿を消した。
ストレスがなくなったせいかあの夢を見ることも無くなった。
彼の言っていた目の前で人が死ぬの意味なんて分からない。それでも、私は何もかもが嫌になってスーツを着て会社とは別の方向へ歩いて行った。
今目の前にあるのは崖。隣には海が見える。
あぁ、彼の言っていた光景の崖側ってこの景色なんだな、なんて思いながら崖の先に向かってぼんやりと歩いていく。
なんで、今向かっているかも分からない。だけど、多分寂しかったんだと思う。不確定なのは、私自身もよく分かってないからだ。
「ふっ…結局…私はこうなるんだね…」
そう言って崖の先から降りるのを躊躇していると、腕を引かれた。
その動作に引かれるように後ろを見ると、彼によく似た青年が立っていた。
「未央…何やってるの…?」
いや、よく似た青年ではない。そこにいたのは霞本人だった。
「あっ…ごめ…なさ…」
「謝らなくていいから…今日未央が無断欠勤してるって電話きて。探してみればあの時の海とすごく似た景色の場所にいるし…。何があったの…?」
そう言って私のことを崖から遠のかせる。
こう見てみるとよく降りる決心ができたなってくらいには高かった。
そんなことを考えていながらも、私は彼に理由を話す。
「本当にごめん…。少し前に霞が私の前から姿を消してからかな…。仕事は充実したし、ストレスなんか無かったはずなのに少し寂しくて…。それで…この崖から落ちようとすれば見つけてくれるかなって…」
「は…もう…バカじゃないのか…?」
「……え」
「連絡してくれれば…ってそういえば最近壊れて変えたのか…バカは僕だな…ごめん」
「いいの…私もバカだったから…」
そう言って、2人で久しぶりに話す。
彼はまた私に連絡先を渡す。そして、私はそれを登録する。
そこでまた、2人の間に関係ができた。
*
あれから1ヶ月。
彼との関係もいい感じに回復して、最近は毎日連絡を取っている。来月クリスマスがあると言うことで、霞からは一緒に出かけないかと誘われていたりする。
まぁ、これから少し忙しくなるだろうから断った。
それでも、今日また連絡が来た。
『12月やっぱり遊びに行けないかな…?25日休みって聞いたんだけど…』
これが、両者共に12月の休日がわかってしまってるから逃げられない。
『もう…そんなに言うならいいよ…』
『了解!それじゃあ、行く場所はこっちで決めおくね!』
〝!〟が増えたあたり、メールの向こう側で彼はとても喜んでいるのだろうか。
まだ11月の段階なのに気が早いものである。
そう思って、私は中断していた仕事を再開する。
「先輩疲れました〜」
そう言って甘えてくるのは、最近入社してきた新人社員の川霧くん。
霞とは違って少しわんこのような一面がある。そのせいか、いい年したパートのおばさま方がいつも彼に何かを持ってくる。そして、その度に私は盾にされているためそろそろ反感を買わないかが怖い限りである。
まぁそれでも、ここのパートさんには良くしていただいてるし、昔の劣悪環境よりかは良いんだと思う。
「ねぇ、先輩癒してくださいよ〜!」
「ごめんね、私には好きな人が居るから…」
「むぅ〜…!」
「ごめんね…」
「それ…本人に伝えたんですか…?」
「……!?」
彼はわたしを後ろから抱きしめる。
「ねぇ…未央」
「やめて…ください…!」
どれだけ抵抗をしても、男性の力に女性が勝てるわけも無く離れることができない。
その上、周りの女性社員もそんなことを気にせずに羨望又は嫉妬の眼差しこちらを見ているため、助けてもらうこともできない。
「ねぇ…川霧くん。本当にやめて…」
その姿で興奮でもしたのだろうか、彼の力が少し強くなる。私は少しずつ恐怖で何も言えなくなっていった。
「……や…めて…」
「言葉の抵抗ならみんなできるんだよ?センパイ♡」
その声に吐き気を覚える。とても甘ったるい猫撫で声。それは、昔聞いた誘拐犯の声のようだった。
本当に怖くなって、涙目になったところに彼は現れた。
「失礼しまーす…って…未央…?!」
「霞……。助……けて……」
「あーあ…来ちゃったかァ…ざァんねん…」
そう言って逃げようとする後輩。私としては何をされるか分かったものじゃないため少しの恐怖がまだ残っていた。
その空気を察してくれたのだろうか。
彼は、私の手を掴んで頭を撫でながら部長に対して語りかけた。
「ごめんなさい、部長さん…!未央が心の傷を負ってないのか知りたいのと普通に未央のことが心配なので今日はもう早退で連れて帰ります…!」
「おう、いいぞ、連れてってくれ…!佐々木改めてあの場で対応できなくてごめんな…」
「いえいえ、全然!」
「そんじゃあ、気をつけて帰れよ…!」
「はい…!」
そんな会話の後、彼に手を引かれて会社を出る。
何も触れずに外へ出してくれたことが唯一救いだった。
「ねぇ、未央…?」
「…な、なに…?」
「あの人…なんて名前…?」
「ああ、川霧くんだよ」
「へぇ…」
珍しく彼は少し不貞腐れたような様子で、前を歩いて行った。
「霞…どうしたの…?」
「あれ以外に何もされてない…?」
「う、うん…。今まではただの先輩後輩だったからね…」
そういうと、表情が明るくなった。
それからは気の向くままに遊び尽くして、疲れて各々の家に戻った。
*
また翌日から出勤してみると、川霧くんは部署から消えていた。別部署に行ったか、左遷だろう。この会社は慈悲深いから敢えて辞めさせたりはしないだろうと思っている。
「部長、川霧くんはどこへ…?」
変に探るのは良くないと分かって居ながらも聞いてみる。
「あぁ、川霧なら左遷だよ。若者なのに大丈夫なのかね…」
「そう…なんですね…。本当心配です…」
「まぁ…でも…。結構問題児だったからな。仕方ないと思うぞ…」
「そうですね…」
「てことで…佐々木も頑張れよ〜」
「はい…!ありがとうございます…」
やはり、川霧くんは左遷させられていた。
少し可哀想とも思ったが、別にそんなに情があったためでもないため少しのショックで抑えられた。
*
あれから少し経った12月。
これから彼と一緒に出かけると言う時に少し…いやだいぶだろうか足止めをくらった。
「佐々木さん…」
「か、川霧くん……?」
「酷いじゃないですか…僕のこと避けるなんて…。ずっと会えなくて大変だったんだよ…?」
「や、、やめて…近づかないで…」
そう言っても近づいてくる川霧くん。
少し前の話もあったせいか、やはり体がこわばっていてうまく動かなかった。唯一出る声で嫌がるがそれでも彼が止まるわけがなく、気がつくと残り数センチの距離まで近づいていた。
「あれ…先輩…?実は嫌じゃないんじゃないですか…?」
そう言って至近距離まで近づいてくる川霧くん。
もう声も出せなかった。怖くて怖くて固まっていると、川霧くんは本性を見せたのだろうか。口が悪くなった。
「ねぇ先輩。そろそろ普通に話してもらって良い?ずっと嫌とかやめてだと興が削がれるじゃん?」
「あ、、ごめ、、な、、さ、、」
「だーかーら…そう言うのやめてって言ってるの分かんない…?」
「……」
「あーあ…お話しにならないじゃん…」
「何してるの…」
「……!?」
少し低い声が聞こえて、そちらを見るとそこには霞が立っていた。
霞は私を川霧から離して、玄関の方へ連れて行き「終わったら鳴らすから待っていて」とだけ言って離れて行った。
私はその言葉を信じて玄関先に入り待つ。鍵とロックをかけて。
外からは何かもわからない音が聞こえてくる。ただ分かるのは川霧くんが苦しんでいることと、霞が楽しんでいることだった。
楽しんでいるとは何事だとは思ったが、笑い声が聞こえてくるから事実なのだろう。
〈ピンポーン〉
「……!」
そうして、扉を開くと少し怪我をしている霞がそこに居た。
「霞…この傷…大丈夫なの…?!」
「あーうん…ちょっと怪我しちゃったけど大丈夫だよ…」
「ちょっとじゃないじゃん…!とりあえず手あてするから家の中に……?!」
霞は私に対していきなり抱きついてきた。
「霞…?」
「あまりにもずっと未央が来ないから心配してきてみたらこれって。しかも、その後なのに男を堂々と家の中入れようとしちゃダメでしょ…。そういうところだよ…」
あまりにも苦しそうな声でそういうから、私にはどうした良いのか分からず慌てふためくことしかできなかった。
「霞…ごめんね…。でもとりあえず、手当てはしないと…」
「ん…そうだった…。お願いしてもいい…?」
「良いよ…。ちょっと待ってて…」
そう言って彼を玄関先に置いて救急箱を取りに行く。
久しぶりすぎて見つからないそれをやっと見つけて戻ると霞は倒れていた。
「……?!霞!霞…!」
「……ん…未央…?どうしたの……?」
「どうしたのも何も…玄関先で…倒れてると思ったから……」
「んへへ…心配してくれたの…?」
そう言って甘い笑みを浮かべる霞。そんなわけがないと否定して、彼の傷を手当する。その間も彼は笑顔でいて、なんだか悔しかった。
「ほい、できたよ」
そう言って彼の顔を見ても特に傷があるようには見えず、彼の傷の大半は腕や脚にあった。
「ごめん、ありがとう」
「許すけど、もうこんな無茶しないでね…」
「うん…ごめん…」
そう言ってまた縮こまる。その姿は本当に小動物のようで、笑ってしまった。
「それじゃあ、行こ…?」
そう言って、私の手を引く霞。けれども、さっき彼の手当てをしたせいで私は汚れてしまったため少し埃をはらって、靴を履いてやっと家を出た。
*
彼に連れられて着いたのは、雰囲気とかはどうでも良いが少し見通しの綺麗な丘だった。
今日がクリスマスだからだろうか。下を見るとクリスマスカラーのイルミネーションや家の光が見え、上を見上げれば綺麗な星が見えた。
「綺麗…」
「でしょ…?ここは僕が一人で落ち着きたい時に来るんだ…」
「それなら、私に紹介しない方がいいんじゃ…」
「いや、未央は特別…」
そうぼそって言う君。そういうところは本当にずるいと思っている。
「そういえば…なんで今日はここに……?」
そうすると彼はこちらを真剣な顔で見る。
その姿を見れば何がしたいのかもほぼ想像がついてしまった。
「未央…」
「な、何…?」
ここでは何も知らないふりをするのが好戦的な気がして、とぼけることにした。
「あのね…少し前にあの…川霧との事件…あったじゃん…?」
「うん…あったよ…」
「その時にさ…すごいモヤモヤして…。自分でもよく分からなかったんだ…」
「うん…」
ゆっくりと…でも、着実に話を進める彼。私としては少しどうしたら良いのかがわからなかった。
「それでね…最近気づいたんだ…」
「な、何に…?」
「僕…未央のこと好き…」
そう言われることは分かっていた。そして、私も答える。
「ありがとう…私も大好きだよ…」
きっと普通の恋愛小説ならここで終わる。私もそう思う。けど、これは普通の話ではない。
「すごいね、蔵本くん。本当に落としちゃうなんて」
いきなり木の影から人が出てきて、私はその影に問う。
「だ、誰…」
「酷いね、忘れたの?川霧だよ?」
「川…霧…。」
その名前を聞いて、私としては過呼吸を引き起こしそうだったが、それよりも驚くことがあった。
「霞…騙してた…の…?」
「いや…違う…」
「何言ってんだよ…元々騙そうとしてたじゃないか…!」
「確かに最初はな…」
「……」
その二人の会話を聞いて、私は何も言えなくなる。
「まぁでも確かに、あの玄関前での攻防戦は痛かったなぁ。本当には殴らないって言ったはずなのに堂々と殴ってたもんなぁ…。もしかして、本気になってたりして…」
その言葉を否定してくれたらどれだけ清々しく振れただろうか。でも、現実はそうもいかない。
「あぁ、そうだよ…。だから今すぐに消えてくれ…」
「……?!」
「ふーん…まぁ、良いや。じゃあ二人ともお幸せにな」
そう言って川霧は去っていく。
「ねぇ…霞」
「な、何…?」
そういう彼はやはり少し震えていた。
「私のこと…騙してた…?本当は好きじゃない…?」
「そんなことない…!」
「でも、川霧くんは今そう言ってたよ…?」
「あーもう……!」
そう言った彼はこちらに向かってきて私を抱き寄せる。
「確かに最初は騙す目的だった…。でも今は違うよ…。信じて…」
「本当に…信じて良いの…?」
あの時と同じ質問をする。彼を好きになったからこその今のこの質問だった。
「うん…いいよ。例え世界を敵に回したとしても僕は君だけを見るよ」
「そっか…ありがとう…」
彼にそう言うとさっきよりも抱きしめる力が強くなって「もう離さない」とメンヘラじみたことを言い出した。
「もう離さないは嫌かな。私は自由がある方が良いから…」
彼にそう言うと申し訳なさそうにする。そんな姿を見るのも楽しかったりして、そこから数分間彼のことをいじっていた。
「ねぇ、悪夢からこんな恋愛まで発展するなんて、誰が考えただろう…」
「もしかしたら予想外だったかもね」
「てか、絶対予想外だよ…」
「社会人なのにこんな大人気ない恋をするなんてね…」
そんなふうに話しながら、彼と笑い合う。
この話はきっとここが私の孤独終わりで。ここが私の幸せ始まりなのだ。
「もう、未央は寂しくならないね」
「うん…霞のおかげだよ」
そんな話をしている私たちは多分相当なバカップルだ。
でも、出会った理由も話すようになった理由もこんなものだから、特に気にもせずにこれからも楽しんでいくつもりでいる。
おはこんにちばんわ!
久しぶりにこんな長編を書いた人間、響月凛音です!!!
元々、テスト期間に息抜きで書いてみたら気がつけば5千文字超えて、7千、9千、1万ってなっていきました…(笑)
さて、今回のお話は、社畜ちゃんと不思議くんのような付いてない男の子のお話だったんですけれども…。
どうでしたか…?
えーっと、初めてオリジナルでこんな長編なったんですけれども…。
読み飽きてませんか…?
なんというか、途中途中自分によりつつも離れたりしていたため、よく分からない話になってたら申し訳ないです(泣)
ということで、さいなら!