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七夕の夜に「そうめん」

前話「てるてる坊主」七夕が晴れるように、若と弁慶はてるてる坊主をたくさん作りました。

そして、今日は、七夕。

「若、お呼びですか。」

「弁慶!今日は七夕だな!」

「はい、七夕ですね!晴れましたね!」


弁慶は、軒下にずらっと並ぶてるてる坊主を、嬉しそうに見る。

若が、弁慶の隣に立ち、一緒にてるてる坊主を眺める。


「なあ、弁慶。私は、微力ながら、天の川の二人の力になれただろうか。」

「もちろんです!昨年もその前の年も雨でしたのに、若と拙者が、こんなにたくさんのてるてる坊主を作った今年は晴れたのですから!晴れに貢献できているはずです!」

「そうだといいな!弁慶!」

「はい!」


たくさんのてるてる坊主を見ながら、しばらく空を見上げていると、

「そうだった!弁慶、そうめんが食べたい!」

若が、突然そう叫んだ。

「え?そうめんですか?」

弁慶は、驚いて聞き返した。


「そうだ!さっき弁慶を呼んだのは、それを伝えようと思ったからだった。」

「左様ですか。」

「そうだ。雑誌を読んでいて見つけたのだが、七夕の日にそうめんを食べる慣習がある地域があるそうだ。その記事を読んだら、私もそうめんを食べつつ、天の川を眺めたいと思ったのだ。」


弁慶は、若の話を聞きながら、想像した。


「それは、素敵ですね!」

弁慶は、何かを思いついたように、目をキラキラと輝かせて言った。


「そう思うか?私もそう思う。では、そうめんを頼めるか?」

「もちろんです!かしこまりました!若、弁慶にお任せください!」

「うむ!頼んだぞ、弁慶!」

「はい!それでは、準備をいたします!」



しばらくすると、庭から大きな音が。

「何事だ?」

「若!ただいまお作りしております。しばしお待ちを。」

「うむ。では、待とう。」



********


「若!若!準備ができました!庭にお越しください!」

弁慶に呼ばれ庭へ出る。


そこには、なぜか獅子落としと、少し離れたその先に睡蓮鉢が置かれていた。

「これは?」

弁慶は、めんつゆと薬味の入った椀と箸を渡して若を睡蓮鉢の前に座らせると、獅子落としを真上に向け、その中にそうめんと水を投入する。


「さあ、若。流しそうめんが参りますよ!」

その声を合図に、獅子落としが、勢いよく若に向かって落とされた。


カコーンッ


軽快な音とともに、そうめんが勢いよく飛び出した!


「若、今です!!」

「え?」


訳も分からず、空飛ぶそうめんを必死に箸で追いかける。

ぽちゃん。そうめんは睡蓮鉢に落ちた。


「風流ですね!やはり流して正解でした。まだまだ行きますよ!」

弁慶は楽しそうに、そうめんを獅子落としに詰める。


「ま、待て弁慶!これは流しそうめんではなく、獅子落と…し…あっ!」

またもや、そうめんが空を舞う。



流さなくて良い!よもや流れてない!

果たして若は、そうめんが食べられるのか!?

そう!それが「うかつぼう弁慶」


若と弁慶は、相変わらずですが、天の川では、きっと織姫と彦星が手を取り合っていることでしょう!


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