メリークリスマス!
「若!お呼びですか?」
「明日はクリスマスという日なのだと巷で流行っているな。」
「そうですね。クリスマスの夜には、サンタさんからクリスマスプレゼントが届くそうですよ。」
「プレゼントか?」
「そうです!」
「大人の私にも届くのだろうか?」
「届きますとも!明日は、クリスマスに食べられているというメニューのレシピを手に入れましたので、夕飯を楽しみにしていてください!」
「いつもありがとう、弁慶。もうそれは、弁慶からのプレゼントだな。明日の夕飯を楽しみにしているよ。」
「かしこまりました!」
クリスマス当日。
「これは豪華だな。何という料理なのだ?」
「こちらはシュトーレンというケーキのような食べ物にございます。」
「これは?」
「こちらは…」
弁慶の説明を聞きながら、沢山のご馳走に舌鼓。
「弁慶ご馳走さま!」
「喜んでいただけて嬉しいです。」
「それではお風呂に入っておやすみください。」
「そうさせてもらうよ。」
さて、いつも皆が寝静まる夜中
弁慶は、いつも寝るのが遅い。
だから、今日も夜中動いていても誰もあやしまない。
家事が終わって風呂に入って、いつもなら部屋に向かうのだが、今日は台所へ。
「台所には、若はお一人では入らないからな。」
台所の扉を閉めると、若へのプレゼントを綺麗に包装していた。
一方、若は、自室の押し入れに隠していた弁慶へのプレゼントを持って弁慶の部屋に向かっていた。念のため台所の前を通らないようにして。
「弁慶はもう寝ただろうか。」
弁慶の部屋の前に立つと気配がない。
どうやら部屋にいないようだ。
さすが若!剣の達人はわずかな気配も見逃さない。扉を開けるとやはり弁慶の姿はなかった。
「まだ台所かな?仕事熱心なことだ。しかし、これは好都合!」
若は、さっき雑誌で読んだ通り、弁慶の枕元にプレゼントをそっと置くと、弁慶に会わないように行きと同じように台所を通らないようにして自室に戻った。
「明日弁慶と顔を合わせるのが楽しみだ。喜んでくれるかな。」
明日の朝のことを考えるとワクワクする若だった。楽しいことを考えながら、ぐっすり眠りについた。
その頃の弁慶。
若へのプレゼントの梱包が終わり、台所の灯りを消して廊下にでた。
もう若は熟睡されているはず。そっと部屋のドアを開けてプレゼントを置いてこよう。
「いや。だめだ。部屋の中に入ってしまうと、気配で起きてしまわれるかもしれない。」
若、お喜びになるだろうか。
若へのプレゼントを、若の部屋の前にそっと置き、自室に戻った。
そして翌朝
「弁慶!弁慶!」
「若!若!」
「プレゼントだ!」
「プレゼントです!」
「そうだ!わたしにもプレゼントが届いたのだ!」
とっても嬉しそうに笑う若。
「拙者にもプレゼントが届いたのです!」
ぱぁっと嬉しそうに笑う弁慶。
若もとても嬉しそう。
「そうか!弁慶のところにもサンタとやらがきたのだな。」
本当は私がおいたのだが。
「はい!サンタは拙者のところにも来てくれました!サンタは本当にいたんですね!!」
弁慶は目をキラキラさせて若を見る。
「そうだな!私のところにもサンタが来たんだ。サンタは本当にいるのだな。」
若と弁慶は、そのあとサンタとはどのような身なりをしてどこからやってくるのかなどなど、楽しそうに語りあったのでした。
まさか2人で送りあっていたとは、つゆとも思わず、お互いに『自分のはサンタがくれて、相手のは自分があげた』と、思い込んでいる2人なのでした。
めでたしめでたし
幸せな二人
来年のクリスマスもサンタはきっとくるね!