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たこ焼きパーティ

どんがらがっしゃん!!!


「はっ!な、何事!?」

先ほど若の前で泣いてしまい、部屋で休んでいた弁慶は、突然屋敷に鳴り響いた大きな音で飛び起きた。

「わ、若!?奇襲ですか!?」

弁慶は、枕元に置いた木刀を握り、若の元へ走り出した。


「若!若!ご無事ですか!?」

バッと若の部屋を開けると、

「あれ?いない…若?どこですか!?」

弁慶は慌てて走り出す。

すると、また大きな音が!?


がしゃん!パリンッ!ガラガラ…


「台所?」

音のする方に走ると、そこには!?


「わ、若…?」

そこには、エプロンと三角巾をきちんと身につけ、白い粉まみれになった若が、おたまとフライパンを持って立っていた。

床にも白い粉だらけで、ボウルや割れたガラス、計量カップなどが散乱していた。


「弁慶。起こしてしまったか。」

バツが悪そうに弁慶を見る。

「そんなことより、これは一体……。」

奇襲や泥棒の類ではないと分かった弁慶は、木刀を納めた。


「ゆ……。」

「ゆ?」

「…ゆ、夕飯をだな。作ろうと思って……。」

「夕飯…ですか?」

「ああ。疲れている弁慶のために、たこ焼きパーティを開こうと、雑誌を見ながら準備をしていたのだが…。」

ガクッと肩を落とす。

「この有様だ。」

「若……」

たこ焼きパーティ?若が準備を?

台所仕事をしたことがないのに。

それにそのエプロンは……。


「前に、私が落ち込んでいた時、たこ焼きパーティをしてくれたことがあったであろう?あの時元気出た。楽しかった。だから、今度は私が弁慶に、そう思ったんだ。」


「若…」

せっかく止まった涙がまた溢れそうになるのを必死にこらえ笑顔を作る弁慶。

「それでは拙者と共に作りましょう!材料はあっているでござるよ。」

弁慶は、早速若からのプレゼントのエプロンを身につけると、

「ひとまず若はそのまま動かないでください。床を片付けますので。」

「すまぬ、弁慶。弁慶に休んでもらいたい一心であったのに、余計な手間を。」

しょんぼりする若。

「いいえ。若と一緒に料理ができるなんて楽しみです。すぐに片付けますので、たこ焼きパーティやりましょう!」

「ありがとう弁慶!よし、共にたこ焼きを作るぞ!」

「はい!」


弁慶はいつもの調子を取り戻した!

若も調子が乗ってきた!


ささっと床を片付けた弁慶は、新しいボウルを若に持たせ、弁慶は、具材を準備する。

「タコは切っておいたぞ!」

自慢げに若が切ったタコを見せた。

「はい!お上手です!若!」

弁慶は笑いを堪えて返事をする。

大きさがバラバラだ。でも、まあ、たこ焼きの中にはおさまるだろう。


「何事も経験だな。弁慶、料理がこんなに大変で楽しいとは思わなかったぞ!時間がある時は、私も手伝う。料理を教えてはくれぬか?」

「喜んで!!!」


この年から、弁慶の誕生日には、2人お揃いの色違いのエプロンを身につけ、たこ焼きパーティを開催することになったとさ。




若!剣の腕前は右に出る者はいないのですから、包丁裁きもきっと…きっと…料理も上達するはずです!?

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