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趣味みたいなもので

「弁慶、毎日家事ご苦労様。」

「もったいないお言葉です。若!」

「毎日大変であろう?」

「滅相もございません。若のお世話ができて弁慶幸せです。それに、家事は趣味みたいなものですからお気になさらないでください。」

「そうか。いつもありがとう。」



数日後



「弁慶、お誕生日おめでとう!」

「そうでした。忘れておりました。若!!拙者のためにプレゼントを用意して下さったのですか?」

「ああ、そうだ。開けてみろ。」

若は、絶対に喜ぶに違いないと、自身ありげな表情。

その顔を見て、とてもすごいものに違いない!!

と、弁慶は思った。


期待を胸に箱を開けると。

「おたま?」

はて?と、弁慶は首を傾げる

次から次へと、台所で使うものが出てくる。

「フライ返しに、フライパン。エプロン、鍋つかみ・・・。」

全て、家事の仕事で使うものばかり。


「!?」

も、もしかして、途中でまんじゅう食べてサボっていることとか全部バレて、心機一転ちゃんと家事頑張れっていう励まし?

「いやいやいやいやいやいや……。」

そんなことありえない。若がいないのを確認しているし。

弁慶がぶつぶつ呟いていると、


「何をしている?」

心配そうな若の声。

「い、いえ、何も。」

どもってしまう弁慶。

「気に入ったか?」

若は、弁慶の反応を見てちょっと不安そうに尋ねた。

弁慶は、若と目が合わせられない。

「えっと。。。若、これは、家事に使うものですね。」

「そうだ!」

若、嬉しそう。

やはり、もっとちゃんと仕事をしろということであろうか。

いつもは嬉しい若の笑顔が今は逆に怖い。


最近の自分の行動を思い出し、ぶるぶるっと震える弁慶。

「も、申し訳ありません!」

謝るしかない!若から先に言われる前に!そうだ、もう正直に言って謝ろう!!

弁慶は決心し、若を見て反省の念をぶつけた。

「え?」

誕生日のプレゼント渡したら、突然謝り出した弁慶にとても驚いている。

「もうサボりません!実は最近冷凍食品ばかりでした!若が何もおっしゃらないので気づいていないと思って料理していませんでした!これからは、サボらず、フライ返しもおたまも使う料理を作ります!お許しください!!」

弁慶はガバッと頭をさげ、その場で土下座をした。


「はて?何を言っている弁慶?」

わけがわからないという顔をして、聞き返されてしまった。

「へ?だって…」

弁慶は、何が何だかわからない…。

「あ…あの…、サボらずに仕事しろということでは……?」

「サボっているのか?」

「へ?あ、あの。でしたら若…何故、これを拙者に?」

今受け取った若からのプレゼントをみる。

顔は笑っているけれど、本当は怒っているのかもしれない。

どうしよう。ここから追い出されたら……


すると、弁慶の予想は大いに外れたのである。


「これか?これは、家事が趣味だと先日弁慶から聞いたからだ。」

「家事が趣味?」

きょとんとする弁慶。


「ああ、言っていたであろう?家事は趣味みたいなものだと。誕生日には、趣味で使うものをプレゼントすると喜ぶと雑誌に書いてあったのだ。それで『これだ!』と思いついたのだ。嬉しかったか?嬉しくなかったのか?」

にこにこ嬉しそうな若。


「若……」

うろたえる弁慶。

若は、拙者にきちんと仕事しろというメッセージ、誕生日プレゼントにこめたのではないのか?


若は、しっかりと弁慶の目を見て続けた。

「それに、先ほどのことだが、誰しも疲れてやりたくない時もあろう?それでも、工夫してご飯を毎日作ってくれていたのだ。私に弁慶を怒ることなど何もない。できれば、私は弁慶が作った美味しい手料理が毎日食べたいと思うけれどな。いつもありがとう、弁慶。」


「若……」

弁慶の目にブワッと涙が溢れ、後から後から溢れ、頬を伝う。


「疲れたら休んで、元気が出たらまた頼むな。弁慶。」

若は、そんな弁慶の背中を優しくさする。

「……あ…ありがとうございます…若、明日から頑張ります…」

弁慶は嗚咽をあげて泣きじゃくった。

「ははは。弁慶らしいな。今日からではなく明日からか!なら今日はこのまま休め!そして明日からまたよろしく頼む!」

若はどこまでも優しかった。


11月26日は弁慶の誕生日です

弁慶お誕生日おめでとう!

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