いえ
これは、「弁慶」と名付けられた男と、その主君「若」が暮らす平和な世界の物語である。
「若!お呼びですか。」
「弁慶!明日6時だ!」
「6時ですか?」
「そうだ!」
「かしこまりました!」
「おやすみ、弁慶。」
「おやすみなさい、若。」
解散し、それぞれ部屋に入って休んだ。
朝。
「おはよう弁慶、出発するぞ!あれ?弁慶?」
部屋にいない。6時になっても迎えに来ないので、部屋まで見にきたのだ。
「どこへ行った、弁慶。」
6時にってあれほど言ったのに。
若は、1人で家を出る。半日かかって目的地に着くと、
「若!お待ちしておりました。」
弁慶が敬意を表すように膝まづき、若を迎える。
「え?弁慶いつの間にここへきたのだ?」
「はい。6時に。」
「・・・」
「若?」
「弁慶・・・お前、まさかと思うが6時にここに着いたのか?」
「はい。正確に申しますと、5時30分頃だったかと。」
「私は、6時にといったのだぞ。」
「はい。ですから、6時に。」
「現地にといったか?」
「いえ。」
「そう、家に6時だ。」
「家?」
「そうだ、家だ。わかっているではないか。」
「いえ。」
「だから、家だ。」
「家…。」
「そうだ。」
「いえ・・・。」
そう!それが「うかつぼう弁慶」
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