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(二)
その後直美は母親の言うとおりに勉強し、受験して高校入学を果たした。しかし、それは母親が望んでいる学校ではなく、第二志望の学校だった。第一志望の高校の合格発表で、直美の受験番号がないことを知った母親はこれまでにないほど怒り、直美の頬を叩いてわめき散らした。直美は何も言わずに耐え続けるしかなかった。
どうして母はそこまで直美の進学にこだわるのか。それは直美の父にも原因があった。
直美の父・小森江威は建設現場での作業員の仕事をしていた。そして毎晩遅くにお酒を飲んで帰宅した。
(続く)