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(二)-11
直美はなんとなくそんな気がしていたが、恥ずかしさのあまり、それを否定した。
その後、二人が映画館デートしたとき、直美は尋ねてみた。「私たちって付き合っている、っていうのかしら」と。
誠は顔を紅くしながら「そうだね」と言った。そして店を出たとき、ついに誠は勇気を振り絞って「正式に僕とお付き合いして下さい」と直美に告げた。
直美は「よろしくお願いします」と頷いて、めでたく正式にカップルが成立することとなった。
しかし、その成立期間は長くは続かなかった。二人の仲は良好だったものの、それを阻む者があった。それが、直美の母親であった。
嬉しくなった直美が、帰宅後につい母親にそのことを話してしまったのだ。
このとき母親の素子は「あっそう」とぶっきらぼうに返事をしただけであった。
(続く)