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第178話「月影」


その時だった。

土竜穴モールホール!!」

シェリィの声が響くと同時に、俺の身体は急な浮遊感に襲われ、垂直に落下していた。

次の瞬間にはベヒモスの身体が大地に叩きつけられた轟音。

目の前が真っ暗になって何も見えないが、どうやらシェリィが地面に穴を開けて俺を沈めてくれたようだ。


『……ええい、小賢こざかしい……』


ベヒモスが四足で立ち上がると、頭上にわずかな月明かりが差す。

マンホールのような穴から這い上がると、同じようにパーティのみんなも、プルースも、這い出たところだった。

シェリィが咄嗟に使った魔法は、俺たちを地面に落としてベヒモスの体当たりから逃がしてくれたようだ。

「シェリィ、助かった!!ありがとう!!」

辺りに向かって叫ぶが……肝心のシェリィの姿が見えない。

まさか、俺たちを助けて自分が犠牲に!?


「おうい……ここじゃー……」

良かった、違った。

「一斉に穴掘ったせいで加減を間違えた……深すぎて出れん……あとは任せた!」

任されちゃったよこのババア……でも、助かった。

みんな揃って死ぬとこだった。

本当に、このババアがいなければ何度俺たちは全滅していたことだろう。

そろそろ俺が、みんなを護る番だ。

改めて立ち上がり、ベヒモスの前に立つ。


「こいつは、俺が、倒す!!」

俺だって、道中何もせずに過ごしていた訳では無い。

剣の威力を、風魔法の力を、最大限に生かす一撃。

「マモル!」

「マモルさん!」

声をかけてくるみんなを横目に、ベヒモスの射程までゆっくりと歩み進む。

ベヒモスは再び口を開け、俺に向かって波動を放とうとその口を光らせた。


浮遊レビテイション!!」

勢いよく飛び上がり、ベヒモスのはるか上空まで高く。

ベヒモスは俺を視界に捉え、顔を上に向けて波動の照準を合わせた。

空中で、蝸牛独歩スローを発動。

その数秒のうちに、ありったけの魔気を刀に込める。

そして、眼下から放たれた波動に向かって、風魔法の力と重力を利用して全力で急降下した。


「うぉぉぉぉぉっ!!!!」

その技につけた名前は、我流「月影つきかげ」。

月を背に飛び、地面に映るその影を二つに割る、真っ向斬り下ろし。

ベヒモスの波動と、俺の斬撃の風がぶつかる!

威力で負けたら、俺は月までも吹き飛ばされて欠片も残らないだろう。


「負けて、たまるかぁぁぁぁっ!!!」

ありったけの魔力を込め、波動に刀をぶつける。

握りしめる手に衝撃が伝わり、吹き飛ばされそうだ。

限界を超えた力で柄を握りしめ、歯を食いしばる。

俺の身体を後押しする、この星の重力。


『グオオオオオオオオオオオ!!!!!』


むこうも、全力だ。

やばい、俺の魔力の方が先に………限界………

獄炎インフェルノ!!」

「アイスダスト!!」

波動に包まれて全然見えないが、リンちゃんとルナの叫び声がかすかに聞こえた。



……この時のマモルは目視できなかったが、リーリンの放つ獄炎の炎はマモルに対して頭上を向くベヒモスの喉元を貫き、寒冷地で「氷魔法」と化したルナの放つ氷の槍がベヒモスの身体中に突き刺さっていた。

リーリンたちは分かってやっていた訳ではないが、この時のベヒモスは波動に全魔力を費やしたことによって身体を護る障壁が消え、攻撃するには絶好の好機と言えた。

リーリンとルナだけでなく、仲間全員が、マモルをフォローすべく自分の力を出し切ろうとしていた。


「メイリオ、いくぞ!!」

「はい!!」

「「モーイング!!」」

プルースとメイリオ、エルフの2人が力を合わせて放ったのは“草刈り”と名の付いた、エルフ内で相伝の複合風魔法だった。

風の鎌はベヒモスの両前脚を真一文字に切り裂いた。


「ラピッドアローー!!」

ティファナはボウガンに風魔法を乗せて連射し、標的の両眼球を正確に射貫き続けた。


「おいらも申し訳ないっスけど、今はゴメンなさいでス!!」

ヨルムも上空に巨大な氷の剣を錬成して飛ばし、ベヒモスの胴に突き刺した。


「出遅れたわい!!」

シェリィも土魔法によって自分の落ちた穴を埋めて戦線に復帰。

「アース……ジェイル!!」

土によってベヒモスの四足の足元を全て覆い、その動きを封じた。


『……ウグオオオオォォォォ…………』


ベヒモスの波動は、マモルの仲間の連携攻撃によってその力を失いつつあった。

これで後は、マモルの力に託された。



「はあっっ!!」

俺の放った風の刃がその魔力の限界を迎えて断ち切れると同時に、ベヒモスの波動もまた消えた。

完全に無防備なベヒモスの頭上に浮かぶ俺は、改めて刀を振りかぶる。

この一撃で決める!

俺は真っ向から、ベヒモスの顔面に向かって刀を振り下ろした。

でんでん丸の刃は硬いその皮を切り裂き、鍔元まで眉間に食い込んだ。

「ふうっっ!!」

呼気と共に刺さった刀を全力で圧し切り、象のような長い鼻の根元まで斬り抜いた。



後ろに飛び退いて着地し、ベヒモスの様子を窺う。

見ると、身体中に氷の槍が刺さり、目には無数のボウガンの矢。

両前脚は真横に切り裂かれ、胴には巨大な氷の剣が左右に貫通している。

おまけに脚は全て地面に埋まるように固定されている。

その上で、首元から滝のような血を流し、眉間からもとめどなく赤い血を垂らしている。

俺の攻撃に呼応して、みんなが助けてくれたみたいだ。

最早、ベヒモスの戦闘能力は尽きた。




【技について注釈】

無外流亜流に「月影感応」という業がありますが、この業はマモル完全オリジナルの我流です。


【☆ブクマ100感謝☆】

本日ちょっと早く帰ってきたので早めに更新しました。

レビュー、感想、評価もお待ちしておりますので是非とも★

明日は外泊予定なので次回は明後日更新させていただきます。


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