ルキ 1
ルキの生い立ちみたいな感じです
会話少なくてごめんなさい
ルキとビアンカは双子である。物心つく前からずっと一緒だったしいつまでも2人一緒だと互いに信じていた。
2人の母マキナは出産の時に亡くなってしまった。父親は分からない。貴族の娘であったため妊娠が分かった時には親族一同に責められたそうだ。マキナだけでなく生まれてきた双子もその対象だった。しかし、当主であった祖父エスタだけは2人を娘の忘れ形見だと愛してくれた。そして守ってくれたのだ。
2人はエスタの元で幸せに暮らしていたがそれも10年だけだった。
2人が10歳の時にエスタは亡くなったのだ。そしてその死を悼む間もなく不幸がやってきた。家を継いだのはエスタの甥夫婦だった。彼らは強欲で双子を疎ましく思っていた。さらに父親の分からない子達を恥で邪魔な存在と思っていたのだ。
2人の扱いはひどいものだった。使用人と同じ部屋を与えられ元々の部屋は取られた。こんな贅沢はお前達にもったいない、と言って服や持ち物もほとんど売られてしまった。残ったのは母の形見の品がいくつかとシンプルな服が数着ずつ。ケチな2人は使用人を減らしルキとビアンカにも仕事をさせた。まだ幼い2人にはキツいことだらけにも関わらず、出来が悪いと酷く叱責した。
権力を持つ夫婦に逆らえるほど強い人間は周囲に誰もいなかった。だんだんと庇ってくれる人も減り双子は孤立し始めた。
ただ、幼馴染のハクアだけはこっそりと助けてくれた。
ーーー
ルキは窓から入る朝日で目を覚ました。このところ幸せだった頃の夢ばかり見る。祖父が生きていてビアンカが笑っている夢。
ビアンカと離れ離れになって4年が経った。ルキは19歳になっていた。
15歳になったばかりの頃あの夫婦は陸の商人にルキを売ったのだ。黒髪の空の民は希少で高い値がつく。金に目がくらんだのだろう。どこまでも腐っている夫婦だ。
運良く逃げたルキはこれまた運良く生き延びた。翼を隠したため陸の孤児として国に保護されたのだ。
それからはビアンカを助けるために必死で訓練し同時に父親探しも始めた。手がかりは母の遺した肖像画入りのペンダントだけで難航した。
ビアンカもいつか売られてしまうのではないかと毎日気が気ではなかった。ハクアがなんとか守ってくれてると信じるしかなかった。成人もまだで力のな
い自分が憎かった。
3年経ったころなんと、望み薄だった父親が見つかった。父親は陸の国の貴族だった。向こうも約18年間探し続けていたらしい。
「…き、君がマキナの息子かい?」
「そうだけど…誰あんた?」
「うう、私はベルトルト、君のお父さんだよぉ。ずっと、ずっと会いたかった…グスッ、ごめんねえ、見つけるのが遅くなって…ヒクッ」
「…ビアンカを連れ出さなきゃいけないんだ。手伝ってくれるよな?」
「グスッ…もちろん。君たちのためならなんでもするよぉ…」
そんなわけで父親を見つけ2人でビアンカを迎えに行く準備を始めた。一月が経ち、さあ迎えに行こう、と意気込んでいたところルキに懐かしい再会と最悪なニュースが飛び込んできた。
「ルキ!やっと見つけたよ!」
ベルトルトの屋敷に世話になっていたルキを訪ねてきたのは幼馴染のハクアだった。
「おい、なんでお前がここに?」
「ルキ、落ち着いて聞いてくれ…」
「なんだよ…」
ルキはとても嫌な予感がした。
「ビアンカが…ビアンカが行方不明になった」
ベルトルト・ペザン
陸の国アルテンシアの貴族
ビアンカ、ルキのお父さん
マキナ含め3人のことをずっと探し続けていた
ルキにようやく会えた時泣き過ぎて驚かれた